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駆け出して背後に回り、ナイフを交じ合わせる。間合いが思った以上に詰まらない。相手の力を流して、腹部までナイフが届けばと思うのに、相手の捌きが格上すぎて全く歯が立たない。
仕方ない、
捌かれた瞬間頬に傷をつけながらも足をかけた。姿勢を崩したゾムに向かって上からナイフを振り下ろす。
これで、おしまい。
だが、体制を崩したにも関わらず、彼はバク転をして私の足をかけた。
まずい、これじゃ!
カンッ!
きゅっと目を瞑って痛みを堪えようとしたのに、全く痛みが来ない。恐る恐る目を開ければ10cm程の距離にあるゾムの顔と、顔の横にはナイフが刺さっていた。
「俺の勝ちぃ。」
負け…か。
でも何故かそこまで悔しいという思いはなくて、むしろすんなり負けを認められた。
「ゾム、退いてやれ。」
「え、あ、!!!!」
馬乗りになっていた彼はグルッペン・フューラーに指摘されると一瞬固まり、私の方を見た瞬間この世の終わりのような顔をして一瞬にして退いていった。
…そんなドン引きする程のブスか私は。
ちょっとむくれつつも体の埃を払いながら立ち上がる。
「お前の負けだ、A・ヴェルディ。」
「負けましたよ。要望通り、仲間になればよろしいのでしょう。」
「あぁそうだ。では仲間になった暁に一つ見せてやろう。」
パチンと指を鳴らすとグルッペン・フューラーの背後の扉がゆっくりと開いた。
扉の奥はとても暗く、空いた所で何があるのか全く読めなかった。
すると人の気配を感じて、目を凝らす。
「A、」
「お姉ちゃん!!」
嘘だ、だって、そんな、
「お母さん…ジュゼ…!」
現れたのはもうこの世にいないと思っていた母と弟の姿。
周りの目なんて其方退けで2人の元へと駆け出した。
勢いに任せて2人に抱きつけば暖かさを感じて、さらに力が篭もる。
生きてる、生きてる…
「あぁ、良かった、貴方が、生きててっ」
「お姉ちゃ、苦しいよ、」
「私、もう、2人が、いないのかと、思ってっ」
気がつけば涙が零れていて、嗚咽が止まらなかった。嬉しさと安堵が一度に押し寄せてキャパオーバーだ。
「この国の総統が私達を避難させてくれたのよ。エマック王が私達を殺すかもしれないって、ね。」
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レラ - 面白かった!! (2020年5月2日 14時) (レス) id: c77952c361 (このIDを非表示/違反報告)
あずき・FB - 初めまして、めっっっちゃくちゃ好きです!!!(唐突な告白イベ) メイドになるっていう設定も凄いそそられます…![ps.因みに続編見れなくて何回か意識がぶっ飛びました((( あぁ…非ログ勢はつれぇよぉ…(心の叫び)] (2019年12月13日 1時) (レス) id: 8e99c8eed5 (このIDを非表示/違反報告)
蒼雨茶(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけて何よりです(;A;)続編も楽しみにしていただけたら幸いです(>_<。)またよろしくお願いします! (2019年12月4日 20時) (レス) id: e407861195 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても続きが気になる物語です!勝手ながら、いつも更新待っています!(’-’*)♪これからの展開がとても楽しみです! (2019年12月4日 17時) (レス) id: ccb5120fa0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼雨茶(プロフ) - 優里愛さん» コメントありがとうございます!もうそろそろ終盤です!お付会いの程お願いします!(>_<。)ご指摘ありがとうございます。訂正致しました。 (2019年12月3日 21時) (レス) id: e407861195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼雨茶 | 作成日時:2019年11月14日 9時