29話 ページ30
カカシと棘は街に買い物に来ていた。
棘はずっと小屋におり、親などからも離れて暮らしていたため、洋服などが異常に少なかった。
持っている服も上下真っ白な無地の洋服しか持っていなかった。
いつも同じような服を着ている棘を見たカカシは「よし!」といって棘に声をかける。
カカシ「棘ー服買いに行こうか?」
棘「おかか。つなまよ」
(別に買わなくても良いよ。着れれば何でも良い)
そう言う棘を見てカカシは溜息を吐く。
カカシ「はぁー。棘、お前はまだ子供なの。だから遠慮とかもしちゃダメ。ほしいものは欲しいって言って」
棘「おーかーかー。こんぶ」
(遠慮してないよー。本当に何でも良いんだって)
そう嘘をついてる様子もない棘に
カカシ(あんな環境にいて遠慮というか、甘えることを知らないのか。)
棘の境遇を思い出しまた声をかける。
カカシ「じゃあ、俺が棘に服買いたいから買いに行くよ!ほら、準備して!」
そう言ってカカシは棘を半ば無理矢理連れ出した。
棘は初めて見る街の風景に目をキラキラさせてあっちこっちに視線を彷徨わせている。
その子供らしい様子を見たカカシは思わず微笑んだ。
カカシ「ほら、ちゃんと前を見て歩かないとぶつかるよ。」
そう言って棘の手を引く。
棘は「しゃけしゃけ」といいながらもまだ目を彼方此方に向けている。
それから適当に店を回り棘に似合いそうな服をカカシが買った。
棘は本当に無欲なようで「どれが欲しい?」「どんな色がいい?」と聞いても「明太子ー(何でも良い)」と言うのでカカシが見繕って棘に似合いそうな服を買った。
今は近くの飲食店に入りカカシとお昼ご飯を食べていた。
初めて入る食堂にまた棘は目をキラキラさせていたが、暫くすると棘が少し居心地が悪そうな顔をし、顔を下に向ける口元と、目を隠すように前髪をいじり口元に手を持っていった。
その様子にカカシは周りを見回すと、色んな人が棘を見ていた。
棘は幼いながらにとても整った顔立ちをしている。その上、宝石眼は狗巻家相伝の目だ。そして、口元の蛇目の呪印。
狗巻家で起こった事件の生き残りだと目で語っているようなものだ。それに、口元の呪印によってその歪さが棘の容姿を際立たせている。
かつて春一がその容姿のアンバランス差に惹かれたように人々には棘の姿に目を惹かれた。
そして、その数々の目が棘を萎縮させているのだった。
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作者名:ウジン | 作成日時:2021年2月27日 15時