19話 ページ20
(私がだれかを幸せにする?無理だ。わたしには誰かを呪うことしかできない)
棘はまだサラサラと紙に文字を書く
[わたしはだれかをしあわせにできません。
だれかをのろうことはできても、しあわせにはできないし、なれない。
わたしはいないほうがいい]
これをみたカカシは棘の声を封じている口枷を外した。
普段の冷静なカカシからは考えられない行動に猿飛も目を見開く。
カカシ「棘、何か喋れよ。」
棘「っ!(ふるふる)」
棘は急いで口を両の手で覆う。間違ってでも言葉が出ないように。
それを見たカカシは口を開く
カカシ「棘、お前は優しい子だな。俺や火影様を傷つけないようにそうやって必死に黙りこくるんだろ。
呪いをかけるのが恐ければ呪いをコントロールすれば良い。」
棘から目を逸らさずカカシは言葉を繋ぐ
カカシ「棘の言葉は確かに危険かもしれない。今回のように強すぎれば誰かの命を奪ってしまうこともある。
でもね逆に考えたら誰かを守る事だってできるんだ。
棘が椿さんが殴られているのを止めたようにね。
だから、これからは誰かを傷付けるためではなく、守るために呪おう。
大丈夫。棘は優しい子だ。その優しい心を持っていたら誰だって守れるさ。」
カカシは棘の両手を握り宝石のように綺麗なアメジストの目を見て言う。
カカシ「俺は今から君を呪う。棘、人を守れ。そして幸せになれ。君にはその権利がある」
優しい呪いの言葉だった。
棘はアメジストの目を大きく見開きポロポロと涙を流しながら必死に頷く。
そして、あの日たくさんの人を呪った口で言葉を繋ぐ。
【あ、り、が、と、う】
喉がまだ治っていなく、少し枯れていて血の味もしたがどうしてもこれだけは言いたかった。
(猿飛さん、カカシさんありがとう。こんな私に大勢の人を呪ってしまった私に生きる意味をくれてありがとう。)
棘は宝石眼を細めて笑った。
2人はその時また棘のその表情は一生忘れることはないだろう。
本物の天使のような綺麗な笑顔だった。
そんな棘の表情を見て釣られて2人も微笑んだ。
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作者名:ウジン | 作成日時:2021年2月27日 15時