17話 ページ18
猿飛とカカシはその紙を見てまた胸が痛んだ。
やっぱりこの子は優しいんだ。
あんな地獄のような環境で育ったとは思えないほど、こっちが泣きたくなるくらいとても優しい。
3歳の時に母代わりの椿を呪ってしまってから五年間この子はずっと小屋の中に1人で1日一回の食事に3日に一度の入浴の時にしか人との関わり合いを持つことができなかった環境にいた。それなのにこの子はとても優しく育った。
ただその環境が当たり前だと信じて疑わなかったのかもしれない。
しかし、春一という少年と関わってからは自分が普通の生活ではない事を知ってなおこの子は誰一人恨まず、いつか小屋をでて、家族全員で暮らせる事を信じてた。
その結果があのような事態を生み出したにもかかわらず、さっきのカカシと猿飛に伝えた内容は、自分が生まれてしまったから、家族は悪くないと、自分がもっと早く呪言について気づけていたらと自分を責めていた。
あんなクソみたいな事を子供に向かって言っていた母親にでさえ悪くない。当然だと言っていた。
カカシは思わず握った拳に力が入ったり手からは爪が食い込み血が滲んでいた。
(もう少し早くこの子を見つけていられたらこんな目に合わさずに済んだのかもしれない。)
何もできなかった後悔がカカシを襲う。
それは猿飛も同じだった。
猿飛「棘よ、よく聞け。お主には幸せになってほしいのだ。お主にはその権利がある。もう2度とあんな目にはあわせぬ。わしが誓おう。だから、わしと共に新しい人生を送ろう」
棘の目を見て猿飛はいう。
しかしそれでもやっぱり棘は
ふるふる
首を横に振った。
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作者名:ウジン | 作成日時:2021年2月27日 15時