試験管の中から恋をしている ／ ci ページ2
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知能を持った機械が人型に成ったのは六号からだった。凡そ七回目になる初めましては、それまでの六回とは追随を許さない何かがあったと記憶している。
白濁の培養液に包まれていた
「初めまして。君の名前は？君の腕に刻まれた番号の意味は分かるかな」
「W国技術研究所所属、対戦闘用ヒューマン型人口生命体CN-01-11です。この番号は、初代CN-01の十一番目の複製体を表しています」
「合格だ。君は理解が早いな」
「とんでもない、博士や他の研究員の方々が熱心に俺に知性を植え付けたおかげですよ」
鈴を転がしたような、耳触りの良い笑い声がする。
「ところで博士」
「何かな」
「その眼鏡、死ぬほどダサいっすね」
これが記録上十二号との最初の会話である。
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十二号の特別なところは、その思考回路にある。他の六人とは違う、独特の感性は多くの研究者が舌を巻くものであった。
あくる冬の日、私は五分の一ほどが埋まっている試験管立てを重石代わりにして書類を作成していた。国の技術研究所といっても現総統が下した予算はカツカツで、今もなお寒さに凍えながらペンを握っている。しかも、丁度視界に入る位置に海の絵画を飾ってしまったせいか背筋すら冷たく感じてしまう次第である。が、決して取り外すことが叶わない品なのは承知の上なので、慣れることを待つのみだった。何を隠そう、これはうちで発見した青い染料を使って描かせた絵画なのだ。発見といっても、副産物ではあるのだが。
そんな折に、彼が二人分の珈琲を持って現れたときはもう、なんて気の利く助手だと感謝の涙が止まることを知らなかったと表現して良いだろう。
「にがあい」
「博士は甘党すぎるんですよ」
気が利きすぎるのも問題なのだが。十二号には、いつでも糖分の摂りすぎを危惧されていた。
珈琲碗を優しく戻すと、彼は私の背後にある試験管をじっと見つめた。
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芹本(プロフ) - 黎明さん» 黎明さまはじめまして！短編は長編よりも構成に力を入れているのでそのように言っていただけてとても光栄です。これからも自分の理想を書いていく予定ですので、長い目で待っていただけたら幸いです。 (2021年4月26日 0時) (
レス) id: b46413c3b6 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - はじめまして！とても美しい世界、言葉に思わず心が奪われてしまいました。素敵な出会いに感謝します、これから新しい作品に出会えることを楽しみにしています！ (2021年4月20日 22時) (レス) id: 4a8e4a3fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芹本 | 作成日時：2021年4月20日 19時
