【ひとり同士】 ページ49
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背筋を伸ばして聞く姿勢をとると、目の前の彼女が片手 を軽く動かして宙に円を描いた。すると、すぐさま景色が変わった。
(海……いえ、空…？)
「ここは現世から少し隔離した、セイレーンの亜空間です｣
「お嬢さん、こちらへ来てちょうだい｣
『？……これは…』
連れられた先にあったのは大きな水の球体。形をやわやわと変え、ふよふよ浮かんでいるそれは、私の背丈の倍はあるだろう。
不思議なそれを前に、私は次どうしたらいいのか。振り返って聞いてみようとすれば、背中を勢いよく押された。そうなれば、聞くまでもなく次の行動は決まった。
『ちょっ！？』
｢私も共に行きますから〜｣
(そうじゃなくて…！！)
笑顔で手を振るセイレーンを他所に、視界が水彩画のように色が滲むも、瞬く間に新しい景色が映し出される。
『ここは……海岸？』
気付けば海際の岩が積み重なった所、その上に立っていた。直近を見下ろせばここよりも岩が低く並んでいるなだらかな道が続いている。
「二十一年前のファイネスト王国です」
「今との差異が大きいですが、ここは過去のファイネスト」
いつの間にか隣に居たセイレーンの声に耳を傾けながら海を背に国を見渡せば、建物はおろか、王城らしきものも外壁が色褪せて、まるで砂宮のようだ。
(それに何より、とても暗い)
「はぁ、ｯはぁ、はあっ、」
『？』
荒い息遣いが聞こえて辺りを見ると、良い身なりをした少年が海に向かって一直線に走っていた。
『あの、彼、大丈夫でしょうか？このまま行けば海に…』
「ええ、入りますよ。ですがここは過去です。私達は干渉できません」
それはまるで、そうなることを知っているかのような口ぶりだった。数秒後、彼はなりふり構わず飛び込んだ。
「先王には弟が一人いました。先王が王太子になった時、その座に着けなかった弟の王子は心を病んでいました｣
(心を、病む…)
それは、あの少年のようなことなんだろうか。
「そこで王子は、一人のセイレーンに出会ったのです｣
「っぷはぁ、な、なんだよお前！」
『！』
少年の声が聞こえたと思い、驚いてそちらに目を向ければ、少年は誰かに引き上げられていた。
『…黒髪の、セイレーン？』
元来、セイレーンは種族共通の黄金の髪を持っている。だが少年を助けたであろう彼女の髪はやはり美しい、しかし濡場色をしている。
「彼女は私達の仲間。髪が黒いのは、彼女の親は純セイレーンと、ヒトの男だからです」
ﾋﾟｸｯ『…それはつまり』
「えぇ、彼女は……………………半魔です」
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さざんか(プロフ) - こはさん» 嬉しい〜!!😭✨️めちゃめちゃ心に染みます…🥲お陰様で、頑張ろうと思えました！ありがとうございます！✨️ (4月24日 22時) (
レス) id: 0d4c90c531 (このIDを非表示/違反報告)
こは - めっちゃ面白いです！すごく凝った設定で、全然二次創作とは思えません！オリジナルを作ってもおかしくないです!!!更新頑張ってください！！！ (4月24日 20時) (レス) @page50 id: 80de9c91a3 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 結月。さん» えぇ〜!!めちゃめちゃ嬉しいです〜!!😭一言一句励みになります🥲優しい言葉をくれるあなたの為にも、これからも書き綴って参ります😌✨ (2023年4月16日 13時) (レス) id: 582aff8f8e (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - さざんか様の描かれるお話すごく大好きで、このお話も本当にすごく大好きです；；日々の癒し時間になっております…。これからも応援しております！ご無理のない範囲で大丈夫ですので更新楽しみにお待ちしてます。最後までついて参ります！ (2023年4月16日 5時) (レス) @page50 id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - Famiraさん» きゃ〜嬉しい〜!!ありがとうございます〜！😭✨そのお言葉が励みになります🥲✨️ (2023年4月13日 2時) (レス) id: 582aff8f8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さざんか | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/madotoku1/
作成日時：2022年4月6日 2時
