#09 ページ48
.
｢それは……っ｣
｢もう三日も前のことでしょう！？周りには大勢の司祭が居てまだ全快しないなんて、あなた方がサボってるんじゃないの！？｣
｢ｯな…！｣
『っ……』
(誤った方に流れている…早く収めなければ)
そう思った時、先日聞いたような美しい音色が…今度は曲ではなく数音、耳に届いた。これは……
(セイレーンの、ハープ…)
｢あ、あぁ……私は今、なんてことを……もっ、申し訳ございません司祭様…！｣
｢頭がどうかしていたようだ……司祭様たちに怒鳴ったって仕方がないのに…｣
「すみません、司祭様…」
｢いえ…私たちも、慈しむべき皆さんに声を荒らげてしまいました。村には、必ず支援物資をお届けします。それまでどうか…｣
頭を下げた司祭達に、返すように深々と頭を下げた民。共に今は、力を注ぐべき所へ戻って行った。
きっとこのハープの音の主は彼女たちだろう。民の心を落ち着かせてくれた礼を、そして…先日の話の続きをする為に、私は神殿へ向かい、彼女たちに会うのに最適な場所を探す。
(確か神殿には、清い水を祀る噴水があったような…)
『あった』
ここは崩壊が少ないみたいだ。噴水に至っては目立った外傷はなく、正常に水を巡回させている。
｢お嬢さん｣
『わっ！』
先日頭上から聞こえた凛とした声が、今度は真後ろから聞こえた。振り返ると、お姉様と呼ばれていたセイレーンと、彼女の後ろに控えていたセイレーンたちが居た。
｢あら ごめんなさい。ずっと後ろに居たのだけど｣
『え？』
｢気付いていなかったの？」
『…ええ』
｢なら、結果オーライというやつね｣
『はは、それなら良かったです…』
｢お嬢さん、会って早々なのだけど｣
『はい。お話を…あ！その前に、先程はありがとうございました』
｢…？｣
『教会の前での騒ぎを収めて下さったことです。ハープの音で民と司祭の心を落ち着かせて……』
｢お、お待ちになってっ、｣
『はい？』
｢私たち、誰もハープは弾いておりませんよ？｣
『え…？』
(いや、そんなはずは…！)
『でも、確かにハープの音が聞こえて…そしたら騒ぎが収まったんですけど…』
｢……まさか…｣
『？』
｢いえ、ではやはりセイレーンの誰かが奏でたのでしょう｣
『ぁ…すみません、もし聞き間違いだったら…』
｢いえ。貴女の耳は疑えません｣
｢確かに、それはセイレーンのハープの音だったのです｣
｢そしてお嬢さん、今日も多くは時間がありません｣
(そうだった。本題はあの日の話を詳しく聞くこと)
『お話を聞かせてください』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さざんか(プロフ) - こはさん» 嬉しい〜!!😭✨️めちゃめちゃ心に染みます…🥲お陰様で、頑張ろうと思えました！ありがとうございます！✨️ (4月24日 22時) (
レス) id: 0d4c90c531 (このIDを非表示/違反報告)
こは - めっちゃ面白いです！すごく凝った設定で、全然二次創作とは思えません！オリジナルを作ってもおかしくないです!!!更新頑張ってください！！！ (4月24日 20時) (レス) @page50 id: 80de9c91a3 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 結月。さん» えぇ〜!!めちゃめちゃ嬉しいです〜!!😭一言一句励みになります🥲優しい言葉をくれるあなたの為にも、これからも書き綴って参ります😌✨ (2023年4月16日 13時) (レス) id: 582aff8f8e (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - さざんか様の描かれるお話すごく大好きで、このお話も本当にすごく大好きです；；日々の癒し時間になっております…。これからも応援しております！ご無理のない範囲で大丈夫ですので更新楽しみにお待ちしてます。最後までついて参ります！ (2023年4月16日 5時) (レス) @page50 id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - Famiraさん» きゃ〜嬉しい〜!!ありがとうございます〜！😭✨そのお言葉が励みになります🥲✨️ (2023年4月13日 2時) (レス) id: 582aff8f8e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さざんか | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/madotoku1/
作成日時：2022年4月6日 2時
