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▽ドキドキとはなんぞや ページ19
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この頃私が抱えていた悩みもどきは、意外な形で雲散霧消した。
単純に、夏休みに入って、バイト自体が減った。
バイトが減ったというか、客層が変わった。
学校の男の子らと一緒になることはなく、たまに人恋しくなった女の子の添い寝をするくらい。
「Aちゃんは、好きな人いないの？」
「好きな人、ですか…」
ふわふわと、お風呂上がりのいいにおいがするお客さん女の子と一緒にベッドに寝転がり、天井を見上げる。
「好きって、なんですかね」
「そりゃ、一緒にいて楽しくて、ドキドキしちゃうことだよ」
失恋の痛みに耐えきれずソフレを頼んだという彼女だけれど、恋に対してこんなにかわいらしく答えられるってことは、きっと幸せな恋をしてきた人なんだろうな。
「ドキドキ、ですか」
「うん！隣にいると胸がきゅってなって、切なくなって、でもその痛みすら甘くて気持ちよいの」
その感覚を知らない、とは言えない。
だけど、私はいろんな人にドキドキしてるってことは、私はいろんな人に恋してるってことなのかな。なんたること。不埒だなぁ。
バイトを終え、ふらふらと街頭の下を歩く。
「もう、こんな遅くに何しとるん？」
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作者名：ひめりんご | 作成日時：2020年4月30日 0時
