▽まぁ、先輩やからな!うん! ページ14
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やっちまった。
時刻は9時半。確実な遅刻だ。
今日はしげが来る日ではない。
いつもかけている目覚まし時計5個はいつの間にか止まっていた。
「神ちゃんに怒られるぅ…」
授業はどーせ寝てるから出ても出なくても変わらないと思うんだけど笑笑
しゃあない。サボると本格的に怒られるどころか心配されそうだから、そろそろ行くか。
ここで急ぐほどには偉子じゃないので、のんびり歩く。
風に寝癖がなびいてふわっふわしてるわ。
気持ちよくて眠くなってきた…ベンチにでも座ってもう一眠りしてから学校行こかなぁ?
「A!」
駄目人間思考回路を働かせていると、後ろから私を呼ぶ声が。
「あれ。流星?遅刻だよ」
「Aもやろ」
「流石ソフレの先輩」
「そそ。まぁ先輩やからな!」
にへーっと2人で共犯者の笑み。
流星は良き理解者じゃ。よきよき。
「今日はどうしたん?」
「えとねー。目覚まし時計5個全部気づいたら止まってた」
「んぁーわかる!」
「流星は?」
「俺はなー起きるんよ!起きるんけど気づいたら時間たってるってゆーか」
「そっかー。流星はいつもかっこいいもんね。セットとかあるのかー」
「え、俺のこと、かっこいいって…?」
「え、そりゃかっこいいよ。言われ慣れてるだろうけど…嫌だった?」
「いや、嬉しい」
珍しくわたわたしていたからクスッと笑ってしまった。
「Aはせっかく可愛いんだから寝癖なおせや?」
「可愛いとか言ってもなんもでてこないよ?」
「本心だって」
どーせ言い慣れてるんでしょー。
不貞腐れてそっぽを向いてると、ポケットごそごそしてた流星が私の頭を掴んだ。
「へ?」
「……ん」
満足気な流星。頭を触ると、寝癖がピンでとめられていた。そのまま流星は手ぐしでとかしてくれる。
「さらさらやな」
なんかよく分からないけどむずむずして恥ずかしくなったので慌てて離れる。
「ありがとう!もう大丈夫!」
「…そうかぁ」
残念そうにしないでよ。
「そういえば、寝坊の理由もひとつあるかも」
「え、なになに?」
「えとね」
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作者名:ひめりんご | 作成日時:2020年4月30日 0時