微睡みラプソディ (ページ3)

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▽はた迷惑な目覚まし時計男。ページ3

電話の着信音。

「うぅ…朝…」

普段はアラームを五個かけて遅刻寸前で学校に行くのだが、水曜日と金曜日だけは少々特殊。

『おっはよー。朝だよー。あっさー♪』

ぶつっ

勢いよく切って布団に戻るけど、奴がそのくらいじゃ諦めないことは知っている。

『hey！おはYO！朝だYO！！』
「しげ…朝から頭響く…」
『はよおきっ！ほらっ！はよはよっ！ぴーん☆』
「うっざ…」

しげのモーニングコールがあるのだ。

私の親は海外にいる。
だから、高校入学時に隣に越してきた重岡家に「Aのこと宜しくお願いします」と言い残していったわけだが。

この私の親の言葉を免罪符に、しげは朝ちょっかいをかけてくる。

でもなんで水曜日と金曜日だけかって？
この曜日はサッカー部の朝練がないのだ。

前は毎日鬼電してきたけど、朝練ある日は朝早すぎたので勘弁してもらった。

いや、いっぱい寝てたいっていう理由もあるんだけどさ。

――――朝のしげ、怖いんだよねぇ。

このぐらいの時間になるとエンジンが温まってくるらしくてテンション高いんだけど。
朝練ない日もランニングしてるんだってえぐいよね。
寝起き良いんだか悪いんだかよく分からん人である。

今日はしげdayだし朝ご飯でも食べるか。

ぴーんぽーん

食パンを咥えたまま応答すると、

『これはひじ！これはひざ！くっつけてぇー？ぴーん☆』

ぶつっ

こいつは週に一回ピンポンダッシュまでしてくる。
そこまでせんでも学校行くわ。

いつものかと思ってぶつぎりしたが、どうやらそうでないようでドアがたたかれる。

「ん～？」

「たまには一緒にいこーや！」

珍しいことがあったものだ。
一緒に学校に行くのなんて、月に一回あるかないかである。

「しげってほんと気分屋だよね」
「Aに言われたくないわ！」

「それでなそれでな」
「おーん」

肩を並べると、しげもオトコノコなのかぁなんて思ってみたり。
肩の位置も腰の位置も胸板の厚さも違う。

ふと私はあることに気づいた。

「しげも、撫で肩」
「え、もってなんやねん」
「昨日のバイト、はまちゃんって人でさ」
「えぇーー！」

今日はずいぶん騒々しい朝だ。
しげも黙ってたらただのいけめんなのに。
あー変顔するから無理か。

「おーいー詳しく教えろって！」

でも、なんだかんだこの騒々しさが憎めない自分がいる。
だから着信拒否にしてないんだろうな。