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食べ終わったところでもう一度「誰と来たん?」と聞いてみる
それがわかればなんとなく家庭環境も見えてくるから
お腹いっぱいになればポロポロと流星くんが言葉を紡ぎ出す
流星くんは自分の気持ちを言葉にするのに少し時間のかかる子みたい
流「おかん、これからごはん…ここで食べって」
「そっか、流星くん家で誰と住んでんの?兄弟とかおる?」
流「いない…」
「そっかそっか、じゃあオカンと2人かな?」
流「うん…」
初日やし、あんまいっぱい聞くのは可愛そうかなっと思ってとりあえず今日のところはここまでにしといた
その後、他の小学生とかと遊んで気づけばもう6時半
ここの子らはあんまり家に帰りたくない子が多いから8時までいたりするんやけど今日来たばっかやし一応聞いとく
「流星くん、まだ帰らなくても平気?オカン心配しないかな?」
流星くんは時計を見ると
流「うぅん、まだ」
なんとなくわかった
「流星くん、オカンに何時に帰ってきてっていわれてる?」
流「短い針が7」
淳「7時って事か、そっか、それまでちょっと遊んどこな」
親に夜まで帰ってくんなと指定されている子供も少なくない
そんなん育児放棄やろ?
児童養護施設とかで暮らせばええやないか?
って思う人もおるかもしれへんけどそう簡単にはいかないらしい
実際うちに来るような子たちは児童相談所が踏み込むか踏み込まないか迷うようなグレーゾーンな子達ばっかり
はっきりと日常的な虐待とか育児放棄だとわかれば強制的に親と子を離すことも出来るけど、親が毎日暴力を振るうわけでもなく、家を不在にしてばかりな訳でもない
何より母は子を奪われたくなくて児童相談所には誤魔化す
子供もやっぱり母親と居りたいから助けを求めへん
私たちは児童相談所と連携していて何かあったらすぐに連絡を取り合うようにしている
そのおかげでギリギリ命を救えた子も今まで何人かいて、恐ろしいことやけどこれがこの国の現状
無理に親子を引き離して勘違いでしたなんてわけにも行かんからみんな慎重になってしょうがない事やと思う。だからこそ身近にいる私たちは常に子どもたちの変化に注意を配るようにしている
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作者名:たすかば。 | 作成日時:2020年11月3日 17時