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「…潰れたんですか、?」
お姉さんの言葉に、思わず耳を疑う。
潰れたって、
ぼく、つい昨日まであそこで売られてたのに。
もしかして神様のゆう通り、ほんまに強盗が!?
店員さんはみんな殺されて、
まだ、買われてなかった仲間たちは殺処分っ…
もう、頭は大混乱。
とりあえず、深呼吸をし、
さっき、ペットショップの前で、
眠ってしまってた時のことを思い出す。
そしたら、
…心当たりがあった。
「…そういえば、シャッターしまってた、」
ぼくがもたれていたのは、まぎれもなく、
店仕舞いを示す、
灰色のシャッターであったということに。
「…そっかぁ、ほんまに潰れたんですね、」
まだ店で元気にはしゃいでた、
ぼくより小さな仔犬を思い出したら、
なんか、急に悲しくなって、
しっぽが、しゅんと垂れる。
あ、しっぽ、ないんやった。
「…で、君のほんまの家は?」
まだスーツ姿のままのお姉さん。
腰に手を当てて…ちょっと怒ってる?
「…いやっ、あの、」
家がないんです。
だから、ぼくを飼ってください。
それが本音だけど、
これ、人間は言わないよね。
突然、そんなこと言われたら、
きっと、気持ち悪るがられるに違いない。
今でも相当、気持ち悪いと思われてそうなのに。
どうしたらいいのかわからなくなって、
なんか、泣けてきた。
「…わかった。 とりあえず、座り?」
泣き出してしまったぼくを見かねて、
お姉さんは、優しく椅子を引いてくれた。
外はすっかり真っ暗。
いつも仕事帰りだったお姉さんには、
きっと明日も仕事があるやろうに。
「…どうした? 家出してきたんか?」
今までも優しかったけど、
それより何倍も増しで、優しい口調だった。
「…学校でいじめられた?家で叩かれた?
彼女に振られたとか…テストで赤点とったとか?」
んーん。
どれも違う。
どれも違うから、首を横に振りっぱなし。
「…じゃあ、なんやろな。」
それでも、お姉さんは、
一緒に頭を抱えてくれる。
「…君、名前は?」
そういえば、まだ、名前もない人間なのに。
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みづき - 切ないけどめっちゃ好き (2017年1月21日 20時) (レス) id: b9c1fb5521 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 良かったです(^^)これからもこの作品を読むことが出来て嬉しいです! (2016年8月17日 23時) (レス) id: 5d0a7551ac (このIDを非表示/違反報告)
ちほ♪ - やったやった!!!残してくれてありがとうございます!ワーイワーイ! (2016年8月17日 8時) (レス) id: cc749951b7 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう - 全然大丈夫です(^^)/ (2016年8月16日 22時) (レス) id: f4acbe337a (このIDを非表示/違反報告)
茉都香(プロフ) - 削除の件、たくさんコメントいただきありがとうございます。 ほんとに駄作なのですが、ひそかに残させていただきたいと思います。 ややこしいこと言ってしまいすみません。 (2016年8月16日 22時) (レス) id: 32a9738ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年8月15日 16時