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彼が、目の前で泣き続けている。
私に背を向けたまま、シクシクと。
ねぇ、なんで泣いてんの、？
そりゃ、聞くまでもないか。
失明。
つまり、文字通り、明かりを失うこと。
怖いよね、不安やんね。
…Aには、もっといい人がおる、
いい人がおるから、だからっ、
だから。
そのあとは何が言いたかったんやろう。
もう俺のことは構わんといてくれ、かな。
いや、もう、
私以外に支えてくれる誰かがいるのかも。
だって、彼が好きな人はきっと、
私じゃなくて、香菜子。
じゃあ、私にはもっといい人がおるってのは、
私を遠ざけるための言い訳？
振るなら振らせてあげる、って、
最後の優しさだったり…
もう、彼がわからない。
頭がおかしくなってくる。
「……でも、神ちゃんが私のこと嫌いならっ、
仕方…ないもんね、」
自分の気持ちを言いたいだけ言って、
彼に、さよなら、することを決意した。
座ってた椅子を片付けて、
元あった壁に立てかける。
「……さようなら、」
冷たい床に響く小さな足音が、
妙に変な空気を作ってた。
「……っ、」
ゆっくり扉を閉める。
と、同時に思った。
あぁ、なにやってんのやろ、私、って。
別れたくない。
離れたくない。
その思いは強い。
とてつもなく強いはずなのに。
その思いが一方通行だから、
勢いで、病室から出てきてしまった。
失明なんて、ほんまにどうだっていいの。
だって、彼は彼なんだから。
病気になってようと、
目が見えてなくても、
彼は彼で変わりないのに。
どうしたらいいっ、
私はどうしたらいいですかっ、
わからなくて、
とりあえず、廊下を歩き出した。
「…っ、ほんっまに、あほっ、」
号泣してるなんて、
今なら誰に見られても関係ない。
子供みたく、ボロボロと泣きながら。
でも、
神様は、
どこまでも、味方だった。
「……A！！」
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りぃな - とても感動しました。涙、鼻水、止まりません…。この作品に出逢えて良かったです (2020年11月21日 0時) (
レス) id: fbf75e46eb (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - はじめまして！コメント失礼いたします。このお話、すごくだいすきです！前までafterのタイトルで、少し続編書かれてたと思うのですが…！ぜひ期待してますので更新お願いいたします！長々とすみませんでした。 (2020年5月2日 16時) (レス) id: 3d1bfe0662 (このIDを非表示/違反報告)
恋夏 - すごく感動しました。涙が止まりませんよ(泣) (2018年7月22日 10時) (レス) id: bda6d95fa7 (このIDを非表示/違反報告)
みたらん(プロフ) - すごく感動してしまって泣きました笑ほんとにこの作品は感動作品で最高です！ (2017年10月16日 3時) (レス) id: 150b2b8868 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - めっちゃ泣きました！神ちゃんの気持ちがわかっていくうちに、目が涙目になってそれからめっちゃ泣きました！(２回目) 感動しました！ (2017年8月28日 18時) (レス) id: a28a43843b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香
x他1人 | 作成日時：2016年8月4日 16時
