5. ページ5
.
それから、また2人で待ってて、時計を見れば、もうすぐ夜の9時。
だいきくんも、腕の中で、うとうとし始めてた。
「...だいきくん、寝てもいいんやで？」
そう声をかけても、んーんって、とろんとしたまま首を振る、だいきくん。
「...とも、...まってるの、...」
今にも落ちてしまいそうな声で、そう言いながらも、がんばって弟のために起きてた。
そしたら、ちょうど時を同じくするころ、私たちの元を訪ねてきた、さっきとは別の看護師さん。
ともくんが、目を覚ましたらしい。
そしたら、今までとろんとしてたのは、どこにいったのやら、
「...とも、いくっ。 はよっ、はよっ。」
だいきくんは、私の手をぐいぐい引っ張ってくる。
救急車の中の大声同様、この小さな体にこんな強い力があったなんて。
弟を思う必死な時に出る彼の癖なのか。
また、心が苦しくなりながらもその手についていく。
「ともぉっ！」
案内された病室に着くなり、だいきくんは、すぐにベッドの元へ飛んでいった。
私も、彼の後を追って、そのベッドに横たわる、ともくんの元を駆けつける。
改めて見ると、ともくんも、二重が印象的な可愛い顔の持ち主。
まだ、点滴や酸素のチューブが痛々しいけど、青かった唇の色もピンクに変わってて、心の底から安心した。
「ともっ、げんきなった？」
ベッドに身を乗り出すようにして、ともくんに話しかける、だいきくん。
「よかったぁ！ ともが、げんきなって、だいき、うれしっ！」
だけど、一つ、気になることがあった。
「...ともー、だいきも、おとなりごろんしていい？」
「えぇ、あかんのー？ だいきもごろんしたいー！」
それは、
ともくんが、さっきから、一言も喋らないこと。
だいきくんばかり話してて、ともくんは、それに合わせてにこにこしてるけど、言葉は一つも。
まだ小さいからかなって思ったけど、見た目的には、1、2歳。
一言も話さないのは、おかしいよな。
「ねえねえ、だいきくん。」
気になって、私は彼に尋ねてみた。
すると、返ってきたのは、なんとも難しい答え。
�燹�...ともはなっ、おはなしが、にがてやねん。」��
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - はじめまして、お話を読ませていただきました！最初から一人でボロボロ泣きながら見てました。本当に素敵なお話に出会えてよかったです。あーほんとに大好きです！ (2019年4月15日 23時) (
レス) id: 735c60907d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 2度目の投稿すみません。こんな素敵なお話書いてくださってほんまにありがとうございます。と同時に感動をありがとう。 (2018年8月15日 11時) (レス) id: abcdd40783 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 読み終わった時(読んでる途中も)涙腺崩壊してめっちゃくちゃ泣いてしまいました。ほんまにこのお話に出会えてよかった。って言ったら大袈裟かもやけど、でもそんぐらい、何回も読みたくなるぐらい、感動して大好きになりました。250文字なんかじゃ伝えきれられへん。 (2018年8月15日 11時) (レス) id: abcdd40783 (このIDを非表示/違反報告)
さら - このお話前から大好きで、ずっと読んでました！改装したんですか？もう一度読みますね！頑張って下さい！ (2018年4月8日 18時) (レス) id: 6858dbe52c (このIDを非表示/違反報告)
noa - 感動したしめっちゃキュンキュンしました！ (2018年3月22日 14時) (レス) id: be5b766048 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉都香 | 作成日時：2016年4月16日 16時
