通訳さん

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「…あれっ、」









ある日、









学校に来ると、









ロッカーの中身が全部なくなってた。









全部って言っても、二つだけ。









スリッパと体育館シューズ。









でも、スリッパがなかったら、学校に入れないし、

今日は、体育だってある。









とりあえず、来客用のスリッパを借りた。









陰から、笑い声が聞こえた。



















「…四ノ宮、シューズはどないしたんや？」









体育の時間になって、

止むを得ず、私がとった行動は、









体操服に、裸足だった。









でも、体育の先生に尋ねられた。









そりゃそうか。









だって、不自然やもん。









「…わ、忘れました、」









長い髪は、いつも上でお団子にする。









これで、多少は、暗く見えないと思うけど、









この時ばかりは、気持ちが暗いから、

どうしようもなかった。









「…じゃあ、しゃーないなぁ。
今日は、それで頑張って。 足の裏気いつけてな？」









先生は、優しい。









涙が出そうだった。



















種目は、マット運動だった。









他に裸足になってる子もいたし、









体育館シューズを忘れたのは、

今日でよかったな、と思った。









まぁ、忘れたんじゃなくて、









なくなったんやけど。









そのまま、

授業が無事に終わることを願っていたのだが、









この日の私は、つくづくついてなかった。









「…痛っ、」









突然、足に痛みが走った。









なんか踏んだ…？









いや、逆。

踏まれた。









咄嗟に、辺りを見渡す。









けど、そこにある空気は何も変わらなくて









さっきと同じように授業が進んでるだけ。









私だけが、じんじんする苦痛に耐えていた。









普段から下を向いてるせいや。









自分の性格を悔やんだ。









だから、こんなことされても、

犯人が瞬時に見つけらへんのや。









痛くて、しゃがみこみそうになった。









けど、それじゃ、なんか負けな気がしたから、









痛みに必死に耐え、授業を終えた。









授業が終わると、









足の甲は、内出血で、真っ赤になってた。









歩くたび、スリッパに当たって、









「…ったぁ、」









悶絶するほどの痛みが走った。





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