通訳さん

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「…私も、好きです、」









大毅の言葉に、









私は、そう、返事をした。









届かないのは、わかってた。









だけど、









自分の口から、ちゃんと言いたくて。









恥ずかしかった。

ドキドキした。









だって、人生で初めての告白やったんやもん。









そしたら、案の定、ん？、という顔をした、大毅。









だから、私は、









すぐさま、









その胸に抱きついてやった。









意外としっかりした身体は、









汗っぽくないけど、

男の子らしい香りがする。









それを幸せに感じながら、









大毅にも届くように、

彼の背中に、伝えた。









【わたしもすき。】









そしたら、ちゃんと伝わったみたいで、









これでもかっていうくらい、









温かく、抱きしめ返された。









幸せすぎた。









学年１の地味で、ブスでアホな私が、









こんなに幸せでいいんかな、ってくらい。









大毅の腕の中で、顔を上げる。









「『…照れてるん？笑』」









『…うるさい。笑』









見つめ合って微笑むと、

お互い、また、顔が赤くなった。
















大毅には、全部話した。









ずっと私が、通訳さん、って呼ばれてたこと。









それでしか、学校にいる資格なんてなかったこと。









いつしかそれが嫌になって、

断ってしまったこと。









そのせいで、学校での居場所がなくなったこと。









そこから、物を隠されたりすることが増えたこと。









大毅はびっくりしてた。









ごめん、ほんまにごめん、って。









大毅自身は、告白の場に、

私が来てくれることが嬉しかったみたい。









私に告白されてるような気分になるから…とか。









それはそれで嬉しいけど、









やっぱりあれは他人の気持ちやからなぁ。









『…これからは、そんなことさせへん。
そんな気持ちに、絶対させへんから。』









そう言う、大毅の目は、

いつも以上に熱く、たくましかった。





























私は、彼の通訳さん。









ずっと今までは他人の気持ちを伝えてきたけど、









今日、やっと、自分の気持ちが言えました。









私は、彼の通訳さん。









これからもずっと寄り添っていくと、



輝く笑顔に強く誓った。











(END)

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