通訳さん

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「『…なに？』」









あの日以来の気まずさから、









少し、冷たく接してしまう。









本音は、









来てくれて嬉しいと思ってるくせに。









『…学校来てなかったから、
どうしたんかな、って。』









…それよりさぁ。









大毅の男らしい手は、言葉を続ける。



















『…あの日、大丈夫、やった？』



















何か、遠慮してるのか、









いつもならサラサラ働く指が、

どこか、ぎこちない。









それがまた、気まずさを増やしてる。









「『…大毅には、関係ない。』」









これはさすがにひどい言い方かな。









でも、ほんまに関係ないもん。









通訳さんを断ったから、ああなっただけ。









大毅の幼馴染じゃなかったらな、なんて、

思ってしまった時期もあったけど、









それは、もう、変えられないし、









私の中では、変えたくないものでもあるから。









だから、









ほんまに大毅は関係ないの。









私の問題やから…放っといて？









「『…また学校行くから、大丈夫やよ？』」









いずれか、うん、いずれかね。









そしたら、大毅は、









すごく怒ったような顔をして、私にこう言った。









『…俺って、そんな頼りない？』









「…えっ、？」









思わずそんなことを言われて、素直に驚く。









『…Aが、あんなことされてんの見て、
俺、黙ってられへんかったのに、』









…頼ってや。 悩んでんのやったら、それ分けてや。



















ほら、









せこい。









また、せこい。









だから、あんなに告白されるんやよ。









みんなにキラキラ笑顔を振りまいて、

こんなに優しくして。









みーんな、勘違いする。









私を含めて。









そのせいで、私の存在は、









告白の道具に変わっていったんや。









通訳さん。









キラキラ女子に頼られる唯一の機会やなんて、

ただの正当化でしかない。









もう、ほんま、









「…せこい。」









その私のつぶやきに、ん？、って顔をする、大毅。









そして、









『…ごめん、わからんかった。 手話で……』









そこまで言って、









なぜか、









とても、悲しい表情をした。





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