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プロローグ ページ2

『博士、助けて…!』


博士の家のインターホンを押す。
ダボダボの服を着て歩き回っている子どもが、こんな夜中に尋ねてきたら、それは不審極まりないだろう。
しかし博士は、眠い眼を擦りながら私を見たかと思うと、

「Aくんか……!?」

目を見開いてそう言った。


『……えっ、な、なんでわかっ…うあぁぅ……』

言ったかと思えば、私の両肩を掴み、ガクガクと揺らされる。
あ、頭が…ぐわんぐわんする……揺れる…

『はっ、はか、博士…』

「おお!すまんすまん…」


いやー、ハッハッハ、と悪びれる様子もなく笑う博士に、ため息が出る。

「まあまあ、とりあえず入りなさい」

『……うん…』

促されるまま博士の家に入る。
リビングにあるソファに座って、博士が出してくれたお茶を飲んだ。


「……ところで…どうしたんじゃ、その体は…」

『……それが、私もよくわからなくて…
家が火事にあって、何者かに家から連れ出されて…
その私を連れ出した何者かに妙なクスリを飲まされて、次に目を覚ましたらこの通り』

「家が火事じゃと…!?
そ、それじゃあ、君の両親は…」

『……多分二人とも死んだよ』

「そんな……」


博士とは家族ぐるみで仲が良かったから。
私の父と母が死んだと聞いて、さぞショックだっただろう。

そんな事より、気になっていることがひとつ。


『……ところで博士…
どうして、私だと分かったの?』

「……そ、それは…ホラ、昔のAくんに良く似ておるし…」

『…………普通、似てるからって本人だ、って分かる?
私の場合、見た目が若返ってるんだよ?多くの人は、私の親戚だとかいとこだとか、って考えない?
普通有り得ないよ?若返るとか』

「だ、だからそれは…」

『……嘘を付けない博士の性格から考えると、可能性はふたつ。
ひとつは、あの男が博士だったり、博士の知り合いだったり…こうなる事が分かっていた場合。
もしくは…

…………私と同じ状況の人物を、博士は知っている』

「…………っ、」

『どう?当たってる?……まあ、博士にはあんな事できっこないだろうし、おそらく答えは後者。でしょ?』

「…………その通りじゃ、……ワシは、君と同じ状況の少年を知っておる…」

『……』

「…………もう遅い。この話は明日する事にして、今日はもう寝よう。布団を敷いてあげるから、今日はここで寝なさい。
……明日、その子に合わせてあげよう」

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毬莉 - えっ?終わりなんですか!?続き楽しみにしてますよ!先生の作品気に入って自宅で叫びながら読みましたから!待ってます! (2020年8月10日 20時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華威緋羅 | 作成日時:2018年12月15日 2時

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