『センセイ。』【幸村精市】 (ページ9)

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「久しぶりにこんな点数を見たよ」

ま、まさかそこまで言われるなんて……
というか、久しぶりって……前にもこんな点数を見たことがあるということ？

……まさか、私みたいに悪い点数の人が他にもいるなんて…

『……す、すみません…』
「いや、気にする事じゃないよ。……それより、キミは数学と英語が圧倒的に苦手なようだ」
『……はい……』

前回の期末考査の点数。

現代文 92点
古典/漢文 94点
国語表現 89点
生物 84点
地学 79点
日本史 91点
美術 100点
政治経済 78点

そして……

数学II 14点
数学B 6点
コミュニケーション英語 7点
英語表現 5点

『…………』
「……どうしてここまで点差が開くのかな…」
『さ、さあ……？』

お兄さんは、「はあ、」とため息をついて、「それじゃあ、数学から始めようか」と言った。

『……お、お願いします…』

そこから、勉強が始まった。

「ここは、この公式に代入して…そうそう。できるじゃないか」
「これは、こう考えると覚えやすいよ」

かれこれ数時間、こうやって勉強する日が、数日続いた。

私もだいぶ問題を解けるようになってきて、なんだか嬉しい。

数日後。

今日も私は幸村家に勉強しに来ていた。
今日は英語。テーブルに向かい合って座って教えて貰っていると、お兄さんの部屋のドアが、コンコン、とノックされ、ガチャリと開いた。

「あら、Aちゃん。来てたのね、いらっしゃい」
『あ、お邪魔してます』
「精市、Aちゃん、これから、心と出掛けるんだけど…どうする？」

ニコリと微笑んで言う経子さん。
私も連れて行ってくれると言ってくてれいることが嬉しい。けれど、今は勉強中。それに、教えて貰っている身であるから、私が決めるわけにはいかない。

チラリとお兄さんを見やる。
すると、フフ、と笑って、

「そうだね、息抜きにいいかもしれない。一緒に行こうかな」
「あら！それならAちゃん！準備してまたいらっしゃい！」
『あ、はい！』

それだけ言って、出ていった経子さん。

「よし、じゃあ、今日は終わり。Aちゃん、母さんも言ってたけど、準備してまたおいで」
『はい！』

私は持ってきていたカバンに持ってきたものを詰め、立ち上がった。

『それでは、今日もありがとうございました！また来ますね！』

玄関まで送ってくれたお兄さんに手を振り、私は家に帰った。