１３ ページ13
父「篤人は、どうなんだ。」
どうなんだ、と聞かれても、卒業以来、会ったことも、話したこともないから、分からない。
父さんは、篤人のことを、昔から、実の息子のように可愛がってきた。
実の子どもは、私と、姉さんの二人だけで、男の子はいないから。今、姉さんはあいにく、仕事でこの場にいない。
篤人のこと、正直に話してしまおう。
私「・・・篤人とは、高校の卒業式以来、会ったことも、話したこともない。」
母「篤人くんと・・・！？」
私「うん。」
父「・・・そうか。少し心配だが、体に気を付けろよ。」
私「うん。」
また、新聞に目を落とした父は、一瞬、顔が曇っていた。
可哀想なこと、しちゃった・・・。
気まずい空気を、振り払うように、母が言った。
母「さあ、みんなでご飯を食べましょ！もうすぐできるから、待っててね！」
私「手伝いするよ。」
しばらくすると、姉も帰ってきた。
やはり、篤人のことを聞く。
この一家は、篤人のことが大好きなのだ。
また、しらけてしまった空気を、母の明るい声で、リセットされた。
晩ご飯を食べ、後片付けを手伝う。父は、風呂に入ってしまい、いない。
母「父さん、（人１）のこと、とても心配してるんだよ。」
私「分かってる。」
母「父さんをこれ以上、悲しそうにさせないでね。」
私「うん。」
母「・・・篤人くんとは、本当に連絡を取ってないの？」
私「そうだよ。卒業式の日に、別れたの。」
母「え・・・。どうして。」
私「篤人とね、自分自身の夢を叶えるために、別れようって決めたんだ。」
母「そう・・・。」
無言の私達に、カチャカチャと、食器の音が響く。
母「後悔、してるんでしょ？」
私「さあ、どうだろ？」
そして、この日は泊まっていった。
：翌日：
私「じゃあ、ね。行ってきます。」
母「体に気を付けて。」
私「うん。お姉ちゃん、またね。」
姉「おう！今度、案内してね！」
私「もちろん(笑)」
母「ほら、父さんも早く。」
父「体に、気を付けろ。」
私「はい。」
父「週に１回は、連絡をよこせ。」
私「はい。」
父「・・・篤人と、運よく会ったら、一緒に連絡してこい。」
私「はい(笑)」
父「・・・(笑)」
私「じゃ、そろそろ帰るね。ドイツに、みんなで来てよ！」
そう言い残すと、私は、前を向いて、歩き出した。
父さんのためにも、篤人に会おう。
そう、決意した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「サッカー日本代表」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まどちね(プロフ) - ありがとうございます（泣） 絶対、読者様が満足してもらえるよう、頑張ります！ (2014年7月2日 7時) (
レス) id: 1241e6d3a9 (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 面白かったです。中学生なんてびっくり。文章力がすごいですね。引き込まれました。これからも楽しみにしています。よかったらくっつく所までは続けていただけたら幸せです（●＾o＾●） (2014年7月1日 17時) (レス) id: 6fd6da2112 (このIDを非表示/違反報告)
まどちね(プロフ) - ありがとうございます！！ (2014年7月1日 1時) (レス) id: 1241e6d3a9 (このIDを非表示/違反報告)
サムライ - 良いです！この話ヤバいです！面白いです！ (2014年6月30日 18時) (レス) id: 839df3a6dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まどちね | 作成日時：2014年6月29日 0時
