○Age10 ページ38
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僕が、ふと、
父の仕事を見に行ってみようかなと思ったのは、
まだところどころ歯抜けが目立つ、
小学4年生のことだった。
「ねぇ、お母さん。
東京ドームって、野球するとこでしょ？」
「うん、普段はそうだけどね？
今日は、そこでコンサートがあるの。」
夏休みの終わり頃。
ほら、お父さんの仕事知ってるでしょ？って言う母には、
はぐれないよう無理やり手を繋がれてたっけ。
とにかくそこは昼間っから、
外なのに化粧や香水の濃い匂いが充満してた。
まだなにも始まってないのに、
それだけで気分が悪くなりそうだったのを、
よく覚えている。
「ほら、ここから入るの。」
どうにかその波を抜け、
関係者入り口と書かれた扉から、母と一緒に中へ。
そこは楽屋が並ぶいわゆるバックヤードという所で、
誰かが声をかけてくれるまでは待っておこう、と、
とりあえず母と2人で待っていた。
もちろんこの時の僕には、そのプレミアムさに、
当然気づくわけもない。
開演までまだ時間があったからか、
いろんな部屋から人が緩やかに出たり入ったりするのを、
ただただ、不思議に見つめていた気がする。
「あ、
そこから少し待っていると、
1人のお兄さんが、僕たちに話しかけてくれた。
「桐山くん！ お疲れ様です。」
「お疲れ様です！ お久しぶりですね〜！
どうしはったんですか？ 旦那さん呼びましょうか？」
テレビで芸人さんがよく使ってるイメージのある、
関西弁を喋るお兄さんがジャニーズWESTであることは、
いくらジャニーズをあまり知らない僕でも、
すぐにわかった。
それぐらい、テレビでよく見る。
それに父もこの時になれば、彼らと仕事をし始めてから、
10年は経っていただろうし。
「そうなんだけど…ちょっと忘れ物届けに。
あ、もしお時間があるなら、
代谷に渡していただけたりしますか？」
あとは今夜のコンサートを、見させてもらう予定で。
母がそう言うと、お兄さんは、
かなりワクワクしたような表情でこう言う。
「じゃあ…旦那さん、落ち着かれるまで、
ゆっくりしてってくださいよ！
そして、まるで初対面じゃないかのごとく、
僕の頭をポンポンと撫でた。
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いっちゃん(プロフ) - 初めまして。こんなに素晴らしいお話に出会ったのは初めてです。本当に感動しました。是非続編お待ちしています。これからも応援しています！ (2020年5月5日 17時) (
レス) id: a6f24fa91f (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 楽しみに更新待っていました。更新してくださり、ありがとうございます。茉都香さんのお話はどれも引き込まれる内容でとても面白いです。大変だとは思いますが、これからも応援させてください。 (2019年5月3日 1時) (レス) id: 4c544edcc6 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - 本当に面白くて大好きな作品になりました！もぉー永久にお話が続いて欲しいぐらい大好きです。これからも応援しています！ (2018年2月11日 13時) (レス) id: dbc0366c84 (このIDを非表示/違反報告)
鳥 - めっちゃ面白いです！こんな何気ない日常や、ラジオの話などを読んですごく笑顔になりました。続き楽しみに待っています！ (2017年10月18日 4時) (レス) id: d107ff32f3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 本当に大好きな作品だったので 続編が始まりすごく嬉しいです。 これからも更新頑張って下さい 更新楽しみにしてます(*^^*) (2017年9月11日 13時) (レス) id: 88a4435328 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香 | 作成日時：2017年8月26日 11時
