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そこから彼に会ったのは、そのまた1週間後だった。
「お疲れ様でした、」
何かに導かれるように、早めの退勤をした私が家に帰ると、
「…あ、」
家の中で、見たことないくらい大きいカバンに、
荷物をどんどん詰め込んでいる、彼がいた。
「……のんっ、」
目があって、彼はちょっと気まずそうな顔をしたけど、
私はお構い無しに、彼にハグを求める。
「……ばかっ、」
初めてした、私からのハグ。
久々に包まれたその体温と匂いに、
また自然と涙が出てくる。
「…ごめんなさいっ、心配かけてっ、」
彼も長い腕を私に手を回してくれた。
耳元でかすめる声が、
なんとなくいつもより少し吐息混じりな気がする。
とりあえず、彼に会えてよかった。
彼が生きててよかった。
「なぁっ、Aちゃん、？」
ハグから離れると、泣いてる顔を見られたくなくて、
私は急いで洗面所へ駆け込む。
メイクもひどいことになってたから、
全部一気に落とすと、
リビングの方から少し不安そうに、
そして恐る恐る話すように聞こえてきた、彼の声。
「ん、？ なに？」
正直、怒ってなかったといえば嘘になる。
だって、救急車で運ばれて、
2週間も音信不通だったんだから。
けど、彼の目を垂らした表情が思い出されると、
その感情は一旦隣に置いて、優しく返事をする。
「…どこまでっ、知ってる、？」
そしたら、また控えめに尋ねてくる、彼。
どこまで。
そう聞かれると正直、私はあなたのことを何も知らない。
「救急車で運ばれた、ってことだけ。」
顔の水気を取って、リビングに戻る。
もう、彼にスッピンを見せるのなんて慣れてしまった。
初めてスッピンになった時は、
思ってたより可愛いくてびっくりした！
なんて、褒めてくれたっけ。
「…それだけ、？」
彼は目をまん丸にして、首をかしげる。
「うん、それだけ。 大家さんから聞いたの。
だって私、あなたの本名知らないんだもん。」
詮索しようにもできないでしょ？
そういえば、せやね、ってふわっと笑う。
「だからね、教えて欲しい。 あなたのこと。」
救急車のことも、家出のことも、
もちろん本当の名前も。
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恋夏 - のんは子犬に生まれ変わったんですね。涙が本当に止まりません。素敵な小説でした。ありがとうございます (2018年8月2日 18時) (
レス) id: bda6d95fa7 (このIDを非表示/違反報告)
りぽるん(プロフ) - 茉都香さんの小説を読んでると一気読みしてしまうほどお話に入り込んでしまいます。笑、はっきりしたものが読みたいです。最後どうなったのか詳しく知りたくて…(^^)のんちゃんsideありがとうございます！ (2018年1月15日 22時) (レス) id: fa9357a811 (このIDを非表示/違反報告)
しげまる。(プロフ) - 子犬に繋がるのならばどちらでもいいなって思います。更新楽しみにしています (2018年1月15日 18時) (レス) id: b8c40dadba (このIDを非表示/違反報告)
有香(プロフ) - ハッキリとした結末が良いです (2018年1月15日 16時) (レス) id: 68ee6ce1a6 (このIDを非表示/違反報告)
玲夢@低浮上(プロフ) - コメント失礼します！めっちゃ面白くて毎日更新が楽しみでした(*^^*)私はハッキリとした結末が読みたいです！これからもこっそり読ませていただきます(*´ｰ｀) (2018年1月15日 16時) (レス) id: a6dfca7116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香 | 作成日時：2017年6月21日 13時
