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「……だいちゃーん、?」









先生から、今日はとりあえず、

家で安静にすることを勧められたので、









一緒に帰ろう、と声をかけ、

その布団のお山に、手を伸ばした、私。









ですが、









「………っ、はぁっ……はぁっ、はぁっ、」









中から、また荒い息遣いが聞こえてきて、









思わず、手を引っ込めてしまいました。









「…だいきくーん? 大丈夫かなぁ?
1回出てきてくれる? しんどくなるよー?」









その様子に気づいた先生も、

袋を用意して、声をかけてくださったのですが、

そんな簡単にだいちゃんが出てくるわけもなく。









息は荒さを増していました。









きっとこのままだと、気を失ってしまうくらい。









ですが、そう思った私は、









一か八かで、ある行動に出てみることにしました。









「…とも、ここで待っててね?」









ともを、ホコリ舞うベッドから少し遠ざけて。









そして、私は、









そのままだいちゃんを、









布団ごと抱きしめてみました。









「…っ!! いややっ…はぁっ、ごめんなさいっ!!
はなして! はなして! っもうしないからっ!!」









いきなりのことにびっくりしたみたいで、

だいちゃんからは、正直、予想通りの反応。









泣いて、喚いて、息が乱れて、暴れまくって。









布団がゴソゴソなって、

ともがけほけほと咳をしていました。








それに気づいて、

先生にはもっと、ともを遠ざけてもらうように。









それでも、私はめげませんでした。









「…だいちゃーん、大丈夫大丈夫。
お母さん来たよー? 怖いね? ほら、お顔見てみ?」









抱きしめ、声をかけ、その小さな身体をさすって。









優しく、優しく、温かく。









母親の安心を知らないだいちゃんに、

愛情とぬくもりも加えるように。









「……ばぁっ。 あ、ぶちゃいくなお顔出てきた。」









隙とタイミングを見て、

頭からかぶってる布団からちょこんと顔を出させると、









そこには、涙と鼻水でぐっちゃぐちゃのだいちゃん。









そのウルウルな黒目がまっすぐ、私と合った瞬間、









「……んっ、おかーさんっ、」









彼は緊張がふわりとほぐれたような顔をして、









私の元に抱きついてきてくれました。





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神山もか. - このお話初めて読ませていただきました!涙最後まで止まらなくて…凄く感動しました!明日、目がパンパンです(汗)またすぐ読みに来ます! (2019年9月16日 0時) (レス) id: 8360bad8dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆの - このお話を初めて読んだのは1年以上前なのですが、すごく印象に残っていました! 久しぶりに読んで1回目に読んだ時よりも感動しました! このお話がもっとたくさんの人に届いたら良いですね! またいつか読みに来ます(*^∀^*) (2019年8月22日 2時) (レス) id: 42506c5c03 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ほんとに終始、ボロ泣きでした。ステキなおはなしに出会えてよかった。ありがとうございました! (2019年4月16日 2時) (レス) id: 735c60907d (このIDを非表示/違反報告)
にこ - 占ツク読み始めてもう4年目ですが初めてコメントをしたいと思った作品でした。児童虐待がちょうど問題になってる今この小説を読んで 色々考えさせられたし 将来は子供と接する機会が多いし仕事に就きたいと思っていたところだったので とても勉強にもなりました。 (2019年2月12日 2時) (レス) id: 394d79a368 (このIDを非表示/違反報告)
とーまと - 感動して、3回読み返しました笑目がパンパンです笑これからも頑張ってください! (2019年2月3日 17時) (レス) id: 8120a2582a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉都香 | 作成日時:2016年12月25日 23時

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