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「…ごめんね、起こした？」
新しい冷えピタを貼ってあげた途端、
冷たかったのか、目を覚ましてしまった、とも。
それと同時に、乾燥から激しく咳き込んじゃって。
「こりゃ、しんどいわ。」
波打つその熱い身体を起こし、
背中を摩ってやることしかできないのは、
毎回、本当に無力でした。
「1回吸入しよっか？」
吸入器も、この頃になればすっかり使い慣れっこ。
早く使わなくなるくらい丈夫になれたらいいね、
なんて思いながら、
その時も、一旦咳を治めることには成功しました。
「………かぁ、」
すると、再び寝転ばせてあげた布団の中から、
小さく聞こえてきた、ともの声。
お母さん、がまだ言えなくても、
一生懸命、私のことを呼んでくれるのが、
本当に奇跡で、嬉しかったのをよく覚えています。
「…ん？ どうしたの？」
その言葉にそっと返答すれば、
ともの次の言葉を、ただただ無言で待つ。
ゆっくりゆっくり、焦らなくていいからね？
初めはそう言って、ともの言葉を待ってたのですが、
それが逆に焦る、って照史くんに言われちゃって。
それからは、ただ無言で、
ともの目を見て、そして時折頷くように。
そうすると、1番安心したような顔をしていました。
「…………にぃ、」
「…おにいちゃん、？
おにいちゃん、もう学校行っちゃったよ？」
「…………にぃ……ん、」
お話は、ともが自分のお口を、
手の指の腹で、とんとん、と触り始めたら終わり。
それは、言葉が出なくて、
行き詰まった時にしちゃう癖みたいなもので。
体調が優れないと、
その癖が始まるのも比例するように早かったですし。
無理して話そうとするから、止めるのに必死でした。
「…じゃあ、おにいちゃん、の続きは、
お手手で教えてくれる？」
そう言えば、ふわりと合わさる小さな手。
5年も経てば、私も、
ともの言葉の大概は分かるようになっていました。
「…あー、そっかそっか。じゃあ帰ってきたら、
ありがとう、って言おっか？」
おにいちゃんに、れんらくちょうおねがいします、
って言うのわすれてた。
少しの動作に、たくさんの言葉を汲み取るのは、
本当に至難の技でした。
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神山もか. - このお話初めて読ませていただきました！涙最後まで止まらなくて…凄く感動しました！明日、目がパンパンです(汗)またすぐ読みに来ます！ (2019年9月16日 0時) (
レス) id: 8360bad8dc (このIDを非表示/違反報告)
ゆの - このお話を初めて読んだのは1年以上前なのですが、すごく印象に残っていました！ 久しぶりに読んで1回目に読んだ時よりも感動しました！ このお話がもっとたくさんの人に届いたら良いですね！ またいつか読みに来ます(*^∀^*) (2019年8月22日 2時) (レス) id: 42506c5c03 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ほんとに終始、ボロ泣きでした。ステキなおはなしに出会えてよかった。ありがとうございました！ (2019年4月16日 2時) (レス) id: 735c60907d (このIDを非表示/違反報告)
にこ - 占ツク読み始めてもう4年目ですが初めてコメントをしたいと思った作品でした。児童虐待がちょうど問題になってる今この小説を読んで 色々考えさせられたし 将来は子供と接する機会が多いし仕事に就きたいと思っていたところだったので とても勉強にもなりました。 (2019年2月12日 2時) (レス) id: 394d79a368 (このIDを非表示/違反報告)
とーまと - 感動して、3回読み返しました笑目がパンパンです笑これからも頑張ってください！ (2019年2月3日 17時) (レス) id: 8120a2582a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香 | 作成日時：2016年12月25日 23時
