Funfundzwanzig. ページ24
____あの頃に戻れたら。
毎夜願い続けて、叶わなくて苦しくて。
私は自らの意思で進むことをやめた。
芽生えた感情を枯らして、枯らそうとして出来なくて。
遣る瀬無い怒りにも似た悲しみに打たれて。
そして、感情を告げることを止めて。
戻らない過去に自ら囚われていた。
けど、
「変わらない人間なんていない。過ぎた事を取り戻すなんて出来ない。____けど!
終わってない。始まってすらない。
アンタも、彼の人も、不器用だから。
その残された“変わらないもの”を“変える”時は今しか無い。
全部知ったなら、変わってしまったなら、
そのままのアンタで彼の人の方に走ればいい!」
貴方は悲しい目をしなくなった。
その目は何処までも澄んでいた。
変わったから。
変わったモノを受け入れたから。
貴方が____私を見る目が変わったから。
だから私は思ったんだ。
怯えることなんて無いって。
私は足を止めたんだ。
果てしなく澄んだその目を、信じているから。
「踏み出すのが怖いなら、俺が手を引いてやる。
もうアンタを傷付けるような事は望まないけど、たった一つだけ、許されるなら____
もう1度、アンタの……アンタの幸せの為にこの命を張りたい。
アンタの騎士になりたいんだ」
振り切った。
どんなに苦しくても、怖くても、嫌でも。
それでも彼は振り切った。
その身で証明して見せたんだ。
変わってしまった、けれど、変わらないんだと。
私への想いのは変わってしまったけど、
出会った頃の彼の思いは変わらない。
この手を引く、
彼の力は変わらない。
これから先、もう二度と、変わらない。
「____行くわ。全部背負って。
それに何言ってるの、馬鹿ね。
最初から貴方は私の
私は応えなければいけない。
彼の変化に、彼の思いに。
その手を掴んで、もう間違えること無く。
彼の____忠実な純愛に目を閉じて。
好きだ、と叫ぶ視線を逸らして。
愛してる、と言う口を咎めて。
綺麗なまま、彼の望むままこの朝焼けに溶けるまで。
それが私に出来る最後の創傷。
____「それが聞けたら十分」
私たちは走り出した。
走ることしか出来なかった。
それは、断ち切るために。
それは、踏み出すために。
振り向く事を止めたんだ。
目を閉じることを覚えたんだ。
だから、
手を引き走る彼の背に縋るのは終わりにするんだ。
前方から降る熱い雨が、
私の頬を撫でていても。
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チョコ - 私中也が推しなんですけど、中也落ちでとてもおもしろかったです!文章の書き方凄くお上手ですね…素敵な作品有難う御座いました! (11月2日 20時) (レス) @page36 id: 521e64f565 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 立原が好きで一気に読ませてもらいました!! 落ちは素敵帽子君でしたけど素敵なお話でとても満足です 素敵なお話有難うございました!、 (2019年8月15日 16時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - とても面白かったです!!!続きが気になり一気に読んでしまいました笑 素敵な作品を作ってくださりありがとうございました♪ (2017年10月5日 9時) (レス) id: b2880a4db3 (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - 立原落ちの小説なくって...立原落ちの小説じゃなかったけどとても面白かったでした!!道造の小説増えて欲しい... (2016年12月14日 20時) (レス) id: c36e1fb932 (このIDを非表示/違反報告)
命乱(プロフ) - 所で…立原落ちの長編小説をリクエストって出来ないですよn((貴方様が書いてくれたら、もっとファンが増えるかと思ったんです…(・ω・`) (2016年11月24日 1時) (レス) id: 7f8e3351f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一華 顕音 | 作成日時:2016年8月5日 22時