Dreiundzwanzig. ページ22
伸ばそうとした手を、握り締めた。
彼女に触れる事が、余りにも畏れ多い気がした。
業火の如く緋色に輝く瞳は、射抜くように俺を見つめていた。
＿＿＿＿「アンタ…異能力者、か？」
薄く笑ったまま、こちらに足を進める少女。
優雅で美しい所作なのに、何故こんなにも身体が震えるのか。
水面の波紋のように、静かな沈黙。
震えるの身体を止めようとして、出来なかった。
動けないのだ？。もう何処にも行けない。
彼女には逆らえないと、本能が言っていた。
此れは絶対的な支配。
彼女の言葉が無ければ、もう指先一つ、呼吸一つ、自分の思い通りには出来ない気がした。
＿＿＿＿「そうよ」
肯定の言葉にさえ痺れる。
この得体の知れない威圧感は何だ。
彼女がやんわりと笑ってその目を閉じると、喉につっかえた呼吸を、全て吐き出すことが出来た。
微かな震えは止まらない。
緊張感が甘く身体を拘束して、まるで恋のような、錯覚に惑わされていた。
心奪われてるのは、紛れもない真実でも。
畏怖を仄めかした熱さなんて心地よいものだろうか。
「私の、異能は【
私が望むまま、異能力者の異能を奪ったり、与えたり出来るわ。
消滅させる事だって可能よ？それがどんな異能でもね。
そして、私の言葉は服従心に働き掛ける。
一度目が合えば、そのまま私に忠誠を誓う。
＿＿＿＿何でも思い通り、って事。
そりゃあ誰もが欲しがるわね」
彼女がこれほど気高いのは。
彼女があれほど手厚く囲われていたのは。
彼女が＿＿＿＿婚約しなければならなかったのは。
この異能を、他人の手に渡さないためだったのだ。
余りにも強大な、恐ろしいまでに支配力のあるこの力が、彼女を傷つけないように。
その小さな背に背負う業を、少しでも減らす為に。
「それ、中也さん達は…？」
「知らないわよ。何も。知ってるのは両親と森様くらいだもの。
そして、貴方。世界でそのごく一部の人だけ。
けれど＿＿＿＿もう無理ね」
「無理って……何が…？」
覚悟を決めたように、泣きそうに笑った。
「私の異能はね、発動させると他の異能者に分かるようになってるのよ。
だから、この異能を狙う人達がこの街にやってくるわ。必ずね」
不透明な闇が蔓延るように、
嫌な予感はすぐそこまで迫っている。
Vierundzwanzig.→←Zweiundzwanzig.
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チョコ - 私中也が推しなんですけど、中也落ちでとてもおもしろかったです！文章の書き方凄くお上手ですね…素敵な作品有難う御座いました！ (11月2日 20時) (
レス) @page36 id: 521e64f565 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 立原が好きで一気に読ませてもらいました！！ 落ちは素敵帽子君でしたけど素敵なお話でとても満足です 素敵なお話有難うございました！、 (2019年8月15日 16時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - とても面白かったです！！！続きが気になり一気に読んでしまいました笑 素敵な作品を作ってくださりありがとうございました♪ (2017年10月5日 9時) (レス) id: b2880a4db3 (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - 立原落ちの小説なくって...立原落ちの小説じゃなかったけどとても面白かったでした！！道造の小説増えて欲しい... (2016年12月14日 20時) (レス) id: c36e1fb932 (このIDを非表示/違反報告)
命乱(プロフ) - 所で…立原落ちの長編小説をリクエストって出来ないですよn((貴方様が書いてくれたら、もっとファンが増えるかと思ったんです…(･ω･｀) (2016年11月24日 1時) (レス) id: 7f8e3351f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一華 顕音 | 作成日時：2016年8月5日 22時
