Zweiundzwanzig. ページ21
____「愛してる」とは、なんて穢らわしい言葉だろう。
____「側にいて」とは、なんて愚かな願いだろう。
____「愛」とは、なんて無責任なエゴだろう。
____「私」とは、なんて醜い人間だろう。
消えてしまいたくなる。
自分の存在が人を追い詰め、苦しめる事しか出来ないのだと、其の事実が身を切るほどに辛かった。
だけど____独りにはなりたくない。
自分は真っ直ぐに生きてきたつもりだった。
気高く、美しくありたかった。
けれど私は知ろうとはしなかったのだ。
自分が“欠陥品”だということから、目を逸らすことしかしなかったのだ。
「あ…っ」
「イッテェな……どこ見てんだよ嬢ちゃん」
「あ、あの、ごめんなさ……」
「おーおーこりゃあ綺麗な嬢ちゃんだなァ…ちょっと遊んでこーよ」
「ちょ、触らないで!!」
もうウンザリだった。
好意も好奇も同じ事。
全てが汚く思えて、悍ましくて。
私の目にはもう、綺麗には映らなかった。
力強い腕も、
低い声も、
高い体温も、もういらない。
全部____これ以上知りたくない。
____「おい誰に触ってんだチンピラが!!」
いらないのに、どうして。
見覚えのある背中は、私を守るように立つ。
「平気か?A」
「____道造さん」
眩しい。
誰かを守るために、手を汚す姿は真に美しい。
憧れた気高さも美しさも、最初から彼は持っていたのに。
傷つけた私を、それでも好きと言ってくれるほど純粋なのに。
「てんめぇ!!何しやがんだ!!」
「チッ……どけよ俺がやる」
「往生際が悪ィよ……さっさと失せな」
「知ってるよ、アンタポートマフィアの立原道造だろ?____異能力の無い雑魚」
「あ?」
いつも味方だった。
孤独でも、辛くても平気だと笑ってくれた。
その優しさが私を私たらしめた。
男の手から金属片が無数に出現し、それは鋭く彼を狙う。
鋭利な刃が、容赦なく。
盾になるように立ちはだかる彼に。
____もうウンザリだった。
隠し通すのは、限界だった。
緋色が、光を帯びた。
「な、……“異能が消えた”ぞ…!?」
もう、失うものなどないと思った。
「____消えなさい。私の気が変わる前に」
「ぁ……あぁああぁ」
「ごめんなさいごめんなさい……!」
「なんだ……?A……?」
困惑も恐れも、受け入れてしまえる。
「あーあ……女王の目覚めだねェ……」
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チョコ - 私中也が推しなんですけど、中也落ちでとてもおもしろかったです!文章の書き方凄くお上手ですね…素敵な作品有難う御座いました! (11月2日 20時) (レス) @page36 id: 521e64f565 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 立原が好きで一気に読ませてもらいました!! 落ちは素敵帽子君でしたけど素敵なお話でとても満足です 素敵なお話有難うございました!、 (2019年8月15日 16時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - とても面白かったです!!!続きが気になり一気に読んでしまいました笑 素敵な作品を作ってくださりありがとうございました♪ (2017年10月5日 9時) (レス) id: b2880a4db3 (このIDを非表示/違反報告)
桜紅葉 - 立原落ちの小説なくって...立原落ちの小説じゃなかったけどとても面白かったでした!!道造の小説増えて欲しい... (2016年12月14日 20時) (レス) id: c36e1fb932 (このIDを非表示/違反報告)
命乱(プロフ) - 所で…立原落ちの長編小説をリクエストって出来ないですよn((貴方様が書いてくれたら、もっとファンが増えるかと思ったんです…(・ω・`) (2016年11月24日 1時) (レス) id: 7f8e3351f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一華 顕音 | 作成日時:2016年8月5日 22時