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いや元々沖矢さんが私のハンカチを人質にするから悪いんじゃ?確かに怒りをぶつけてしまったのは悪いけれども、その原因をつくったのは沖矢さんだからね!?


……なんてことを言えるのは心の中だけです。そんな言葉とは裏腹に、頭の中では沖矢さんに謝らなければ、ということでいっぱいだ。


対する沖矢さんは、先程からずっとうつむいて肩を震わせている。無言の圧力、というのが何故か浮かび上がってきた。


治まったと思った心臓が再び激しく脈打つ。乾いた唇から、言葉にならないものが漏れ出た。まずい、このままだと一秒単位で寿命が縮まりそうだ。


「ごめんなさい」そう言いかけた時だった。沖矢さんの口から信じられない言葉が飛び出たのは。


「すみませんでした」
「……はい?」


思わず聞き返してしまうほど、その言葉は予想外で。


「……すみませんでした」
「……はい?」


本日二度目の、はい?である。いやいやっ、そんなことはどうでも良いんだよ!あの沖矢さんが?謝った?


未だに混乱する私を差し置いて、淡々と話を進めていく沖矢さん。


「私はただあなたとお話をしたかっただけなのですが、どうやら少々強引だったようだ……。見たところ、このハンカチは大事な物のようですし、それを弱味にして誘おうとするだなんて怒りをぶつけられても仕方ないですよね」


「お返ししますね」とハンカチが手に置かれると同時に、ドアから足が抜かれる。閉まろうとするドアを慌てて押さえた。


彼の誘いが消えた。大事なハンカチも戻った。なのに、ドアを押さえてしまうのは何故だろう。


後ろ髪を引かれる彼の言葉に、良心がチクチクと痛みだす。私は彼とはこれ以上関わりたくはいが、そんなことを言われると罪悪感に駈られてしまう。


とどめと言わんばかりに沖矢さんの哀しそうな微笑。「さようなら」それだけ言って去る沖矢さんに、私はいても立ってもいられなくなった。


少し大きな声で呼び止めれば、ピタリと止まる背中。……思えば、ここで呼び止めてしまった私を殴りたい。


「あ、あの、少し、だけなら付き合っても……」
「おや、そうですか」
「……はい?」


先程の悲壮感なんて微塵も感じられない、コロッと態度の変わった彼に再度頭が混乱し出す……が、一つだけ分かったことがある。


「さ、さっきの悲しそうなふりってまさか……!!」


沖矢さんが、悪戯っぽく微笑んだ。


「たまには演技もしてみるものですね」


……このっウミウシ眼鏡め!!

終わり ログインすれば
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寝子 - ウミウシになっちゃえばいいんだ!!これ大好き (2月18日 23時) (レス) @page42 id: 57e090ea6a (このIDを非表示/違反報告)
まる - ウミウシで盛大に吹きましたありがとうございます笑 (7月22日 11時) (レス) id: a2e96a3a87 (このIDを非表示/違反報告)
ディちゃん(プロフ) - うwみwうwしwwwww (2022年3月18日 13時) (レス) @page42 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - にょさんさん» いやわかればええやろ (2020年11月17日 23時) (レス) id: dd314e797a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ウミウシの説明がじわりますw (2018年4月9日 16時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リッタ | 作成日時:2016年12月17日 14時

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