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ページ40

何故これを糸目さんが持っているのか。何故このタイミングで渡されるのか。


困惑が滲み出ている目で糸目さんの表情を伺えば、にっこりと笑顔で返される。いや、にっこりじゃなくてですね。


「私が貴方に道をお尋ねした時に、落とされたんですよ。気づかれませんでしたか?」
「……いいえ、全く気づきませんでした」


……何てことだ。ずっと見当たらないと思っていたら、その時に落としたのか。じゃ、じゃあまさか……糸目さんがあの時私を呼び止めたのは、ハンカチを渡すためだったのか。


そうだとすれば、どうして私は振り向かなかったのだろう。振り向いていたら、糸目さんとこれ以上の接点は生まれなかったのに!!


……『後悔先にたたず』ってこういう時に使うのかな。


「勿論、呼び止めはしたのですが……貴方が『聞こえないフリ』をするものですから、お渡しできなかったんですよ」
「……っ」


嫌な汗と共に、顔がピクリとひきつる。


ば、ばれていた……。何か理由をつけねば、と焦る頭の中で「それらしい理由」を考える。焦燥感のせいか、いつもより心臓の音が大きく聞こえる気がした。


「い、いやぁー、あの時は急いでいたものですから……あはは」
「……ホォー?」


私のことを疑っているのか、糸目さんの閉じていた目が、ほんの少し開く。開眼するんじゃない!


ともかく、この状況を早く終わらせたいので、差し出されている大事なハンカチに「ありがとうございます」と言いながら手を伸ばす……が、ひょいっとかわされてしまう。何故!?


「あ、あの……沖矢、さん?」


彼の謎の行動に疑問を抱いていると、不意に口が開いた。


「少し付き合っていただきたいのですが……よろしいでしょうか?」
「え、嫌です」


そう即答すれば、にっこりと素敵な笑顔を向けられて、ハンカチが糸目さんのポケットへと戻っていく。何故!?


「ま、まさか、ハンカチを人質に取る気ですか……!?」
「ええ、少々手荒ですが……こうでもしなければ、こちらの誘いに乗っていただけないようなので」


この時の糸目さんの微笑みが、悪魔の微笑みに見えたのはきっと幻覚ではないと思う。


ーーー
2月16日まで更新ができません。コメント返しです。


羅鳥さん
取り合えず「沖」がついていれば、何でも良かったんです(笑)


リリー・ブラッドさん
笑っていただけたのなら、こちらとしても嬉しいです。本当は、「沖田総司」も入れたかったんですけどね……。

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寝子 - ウミウシになっちゃえばいいんだ!!これ大好き (2月18日 23時) (レス) @page42 id: 57e090ea6a (このIDを非表示/違反報告)
まる - ウミウシで盛大に吹きましたありがとうございます笑 (7月22日 11時) (レス) id: a2e96a3a87 (このIDを非表示/違反報告)
ディちゃん(プロフ) - うwみwうwしwwwww (2022年3月18日 13時) (レス) @page42 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - にょさんさん» いやわかればええやろ (2020年11月17日 23時) (レス) id: dd314e797a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ウミウシの説明がじわりますw (2018年4月9日 16時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リッタ | 作成日時:2016年12月17日 14時

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