僕だけを。[暗殺教室] 【浅野学秀】 (ページ2)

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#1 非日常の時間ページ2

浅野side

今日も一日が始まる。

女1｢おはようございます、浅野先輩！｣

｢あぁ、おはよう。｣

黄色い歓声が聞こえる。一体どこに歓声をあげる要素があったのか、全く分からない。

確かに僕はモテる。成績優秀、生徒会長という権限をもち、更には理事長の息子。
顔も悪くないと思うし。だが...

『...はぁ』

彼女だけは、僕に見向きもしない。
まるで｢うるさい｣と言う様にため息をつき、通りすぎていった。

寺須美 A。僕は彼女に恋をしている。
というか、愛している。それは僕の一方的な思いだけど。
その場を素早く抜けて、僕は校舎に向かう。

まぁ、でも。彼女とは少し特別な関係だ。

ｶﾞﾗｯ...

「おはよう、寺須美さん。」

『おはよう、浅野君。』

彼女はにっこりと微笑んで、僕に挨拶をした。

ｶﾞﾗｯともう一度ドアが開き、奴が入ってくる。

あいつは、西川悠久。かつての寺須美の彼氏だ。僕が別れさせたからもう付き合ってない。

悠｢お、おはようA。｣

『あ、おはよう。』

彼女は少し悲しそうに笑った。僕は彼女のあんな表情も好きだ。

僕がどうやってあいつらを別れさせたか。それは、僕が彼女の弱みを握っているからだ。少し前の話をしよう。

生徒会の仕事で遅くなった僕は夕日に暮れる道を歩いていた。その途中、路地裏から声がした。

覗いてみると、なんと彼女だった。

『ね、いいでしょ？』

男｢で、でも...｣

彼女は男にキスをした。

その瞬間素早く写真を撮りその場から立ち去ったが、家に帰り僕は笑いが止まらなかった。

「これで...僕を見てくれる。」

彼女には彼氏がいる。

話しかけることすら出来なかった僕にこの写真は勇気をくれた。

僕を見てくれるならば、向けられる感情はなんだっていい。たとえ、嫌いだと思われても。

見てくれさえすればどうだっていい。

次の日、

「おはよう、寺須美さん。」

と初めて挨拶した。彼女は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに無表情に戻り

『おはよう』

と返した。

放課後、彼女を生徒会室に呼び出した。

『なんですか、私忙しいんですけど。』

やはり彼女の言葉には感情を感じられなくて。

「なに？デートでもするのかい？」

『...別に。関係ないでしょ。』

「彼氏がいるのに？」

と切り出してみる。

『...は？』

「彼氏がいるのに、他の奴とデートに行くのか。」

『な、なに言って...』

あぁ、君が僕を見てくれている。