ゆりかごから墓場まで□fkr ページ6
私と拳君は、幼馴染だ。
それも、生まれた時から一緒の。
生まれた時から、はちょっと誤解を招くかな、正しくは私の生まれた時から。拳君の方が4つ上なんだけどね。
家は隣だったし親同士仲良かったし、ずっと一緒だった。
小学校も一緒だし、中学からは同じになることは無かったけど、それでも毎日お互いの家を行き来して、休みの日には2人で遊びに行ってたし。
今でも仲は良いんだよ?
お互いの家を行き来して、気軽になんでも話せる中だから恋愛相談とかもめっちゃしてる。
主に私のなんだけどね。
今だって拳君に話聞いてもらってるんだから。
「へぇ。…あ、それ、例の先輩がくれたの?」
「あ、そうなの!可愛いでしょ?」
「うん、似合ってる」
褒められた!やった!
今私には気になってる人がいて、同じバイト先の先輩。
結構いい感じで、今褒められたのだって誕生日プレゼントにってくれたピアスなの。
「もうさ、告白しちゃったら?」
心底楽しそうに拳君はそう言った。
「え、告白…?」
「うん」
「…無理無理!絶対無理!!」
「えぇ、そうかなぁ」
そう笑ってから拳君は、話聞いてる限りいい感じだと思うけど、なんて言って。
それは私も思うけど…何せ勇気が出ない。
もしフラれて、これまでの関係がぐちゃぐちゃになったらって考えてるともう怖くて仕方ない。
「…当たって砕けてみなよ。砕けちゃったら俺がどうにかしたげるから」
「拳君…!」
やっぱ優しい!拳君は!
こんな私の話を聞いてくれて、しかも頼もしい言葉をくれた!
「…なら、私、当たってみる!」
「うん、頑張れ」
「来週の土曜日!土曜日に告白してくる!」
「…上手くいくといいね」
「ぇ…拳君?」
「ふふ、なぁに?」
上手くいくといいね、そういった拳君の笑顔はどこか怖くて、目が笑ってなくって、なんだかゾッとした。
それでもなにかの気の間違いだろうと思い、私は土曜日に向けて準備することにした。
□
「そうだよ、告白しちゃうんだって」
「え〜福良さんどうするの、取られちゃうよ?」
「あはは、やめて伊沢、俺がそう易々と引くわけないじゃん」
「まぁ…福良さんだもんね」
誰よりも長い時間Aと居たのに、Aの目に映るのは俺じゃなくて、それが何よりも許せない。
だってほら、来週の土曜日って、一緒に映画見に行こうって言ってたのに、それも忘れちゃってる。
そんなに先輩が好きか、全く困った困った。
「…絶対、Aは離さないんだから」
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作者名:うゐ | 作成日時:2022年7月11日 16時