仲が良すぎるのもまた一難＿sg ページ4
「はぁ…Aさん、どうにか私のとこに来ないかなぁ」
「いやいや、そんなこと言ったって」
「…そうなんですけど…」
「自分からいかないとなんもならないよ」
「う゛…」
福良さんからごもっともなことを言われ、何も言い返せずにもう1回溜息を着く。
私の目線の先には、パソコンとにらめっこしてる可愛い人。
名前は藤宮Aさん。
私の同期で、一目惚れで、何年片思いしてんだって話。
「…ひとついい事教えてあげよっか」
「え、あ、はい」
「藤宮、結構惚れやすいらしいよ。これ、須貝さん情報」
「…絶望度が増しただけなんですけど」
彼女のお兄さんと幼馴染である須貝さんが言うのだから、間違いないんだと思う。
惚れやすいってなに、いい事でもなんでもないじゃん。
「一緒にいる時間が長いだけで、好きになっちゃうって須貝さん困ってたし」
「…時間が長い…と」
…彼女とは結構いるつもりなんだけど、私が一番って事なんてなんにも確証が無い。
「…ま、当たって砕けてみるのもいんじゃない？」
「…私に当たって砕ける勇気があればいいんですけどね」
福良さんからのこの助言も、こんな屁理屈で返してしまう。
あぁわたしって、ほんとだめ。
(志賀君、マジで気づいてないのかなぁ…。藤宮も結構わかりやすいと思うんだけど…)
□
最近オフィスを静かに騒がせている志賀藤宮コンビ。
なんせ仲が良すぎる。
至近距離でキャッキャしてる2人を見つけては「え、あの2人付き合ってんの？」なんて言うことが流行ったくらい、もう付き合えよって皆思ってる。
ほら今だって、
「玲太君、週末、予定ある？」
「え、あぁ、ないけど」
「なら、美術館行かない？たまには誰かと行くのもいいかなって」
「うん、いいよ。楽しみにしてる」
こんな自然にデートに誘う事なんかある？
これで藤宮からの好意に気づいてない志賀君もヤバいけど。
志賀君も志賀君で、休日お互いの家に行きやすさ重視で引越し先決めたくらいだし。いやもう付き合えよ絶対両思いだって。
「福良、言いたいことはわかるけど顔」
「いやさぁ…無理無理、なんで付き合わないの」
「そんなの皆思ってるよ」
「仲が良すぎる友達って感じ？」
「そっから抜け出すのって大変そうだねぇ…」
マジで、あの2人が付き合うのって、めっちゃ時間かかるだろな。
いや、両思いなんだし、そう時間もかからないか。
なんて思いながらも、目の前で楽しそうに笑いあってる例の2人を、ぼんやりと眺めるお昼頃。
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作者名：うゐ | 作成日時：2022年7月11日 16時
