21 -Past- ページ21
それから１週間も経たない内に、ニノが智くんに合うだろう仕事を見つけてきた。
ニノが云うには、ニノの友達に鮮魚店で働く「速水さん」という人がいるそうだ。
その速水さんに智くんを「雇わせてくれないか？」と頼むと、快く承諾してくれた。
勿論、智くんが喘息持ちだということ、体力も周りの成人男性よりは少ないということは話した。
そのことも承知した上での返事だった。
速水さんとニノは、昔からの親友でお互いを信頼し合っている。
ニノ曰はく、速水さんは、口調はサバサバとした人だが、とても気さくで正直な性格だという。
ニノが信頼している相手なら大丈夫だ。
俺はそう思い、すぐに智くんの家へ訪れた。
それが昨日の話だ。
そして今、俺はニノの家にいる。
「それで、どうだった？」
ニノは缶ビール２つと、チーズやスナック菓子などお酒のつまみになる物をテーブルの上に広げた。
「そこで働かせてほしいだって」
「ほんと！？」
ニノの表情がパッと明るくなった。
「うん。
何度もお礼を言われたよ。
ニノにもお礼を言いたいだって。
今日は朝から病院で検査があるから、その後ニノの家に来るかもよ」
「そっか。
気に入ってくれたなら良かったよ」
「それと、俺に提案があるんだけど」
俺は缶ビールを置いて、しっかりとニノに向き合った。
「提案？」
何か大事な話だと感じたのか、ニノの表情も引き締る
「うん。
智くん、今のアパートでも掃除とか荷物運びをするだけで呼吸が息苦しくなるんだって。」
「埃とかで？」
「うん。
俺達が当たり前にしている日常の動作でも、智くんには体の負担になることが多いみたい。
それでね、俺......。
智くんと一緒に暮らそうかと思ってるんだ」
俺はその言葉を恐る恐る言った。
それにも関わらず、ニノは全く動揺せず、チーズのビニールを剥すと、パクリと口に入れた。
そして一言、「そうなんだ」と返した。
その冷静な反応には、むしろこっちが驚くほどだった。
「驚かないの？」
「だって良い事じゃん。
大野さんも医者の翔さんがいれば安心だし、体の負担が大きいこともやってあげられる。
でも...家はどうするの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こう(プロフ) - 美唯さん、ありがとうございます(^^)これからも楽しんで頂けたら幸いです (2018年3月19日 23時) (
レス) id: 4fb03ffa7f (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - 更新嬉しかったです。また続き楽しみにしてます (2018年3月19日 18時) (レス) id: 9da5bd590f (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - 彩矢さん、ありがとうございます(^^)ペースはゆっくりになりますが続けていくつもりです^ ^ (2018年3月19日 15時) (レス) id: 4fb03ffa7f (このIDを非表示/違反報告)
彩矢(プロフ) - こんばんは。はじめまして。久しぶりの更新、嬉しかったです。これからの続き、楽しみにしてますね(^^♪頑張ってください。 (2018年3月18日 23時) (レス) id: e1a7eed6d1 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - ありがとうございますm(_ _)m (2015年10月16日 20時) (レス) id: a7a271df65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こう | 作成日時：2015年10月13日 20時
