二。 ページ3
朝、Aは目を覚まし、躰を起こす。
少し眠そうに目を擦り、周りを見渡した。
隣で寝ていたエリスは、部屋内に居ない。
「……」
Aは、ぼんやりとした顔で、寝台から降りる。
そして、ドアノブに手を掛ける。
「あ、A」
扉を開けると、其処にはエリスが立っていた。
目を見開いて、驚いている。
其のエリスは、手にお盆を持って、両手が塞がっている。
Aが道を開けると、エリスは「有り難う」とニコリと笑い掛け乍ら云って、部屋の中に入る。
Aは扉を閉めて、エリスの方を見た。
エリスは手招きをして、Aをテーブルに喚んだ。
「……?」
覚束無い足取りで、テーブルまで歩く。
テーブルの上には、野菜、パン、スープ等が並んでいた。
「朝食よ。暫く何も食べてなさそうだから、持ってきたの。……ほら、食べましょ?」
満面の笑みでそう云ったエリスに、Aはコクリと首肯いて、椅子に座る。
「いただきます」
「……いただき、ます」
それから、二人は食事の手を進めた。
エリスは時折、Aを気に掛け乍ら。
Aは、最初の一口目以降から、食べる速度が速くなっていた。
Aがエリスの視線に気付き、コテンと首を傾げると、エリスは「何でもないわ!」と再び食事の手を進めるのみだった。
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作者名:日之静海 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年9月13日 21時