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十。 ページ11

本音を云いましょう。
……此方の小説、書き溜めの必要性が感じられないので、溜めていたものを一気に吐き出しました。
何で書き溜めしてたんだろうね、私?
__

数日間は、似た様な日々が続いていた。

太宰が朝早くから来て、夜遅く帰るまで、Aは太宰から離れなかったり。
偶に自 殺しようとしていたり。

逆に太宰が来ない日は、Aは何処か物悲し気になり乍ら、森の手伝いをしたり。
または、エリスと遊んだり。

Aは、森が何故、闇医者なるものをやっているのか。
太宰が何処から来るのか、深くは訊かなかった。
森や太宰もまた、Aの過去を深く訊かなかった。

お互いに深く訊かないから、何も云わない。
暗黙の諒解(りょうかい)であった。

変わらない、平和ではない処に在る、平和な日々。

しかし、そんな日々にも変化が訪れる。
或いは終わり、なのかもしれない。

***

其の日は、太宰が来ている日だった。
Aは何時もの如く、太宰と手を繋いでいる。

しかし、其の日は何時もと違った。

森は何時もとは違って、身なりを整え、何処かに行く準備をしていた。
太宰も行く様だ。

Aは眉を下げ、ゆっくりと目を伏せた。

「Aちゃんも来るかい?」

「……行く」

そうAが答えると、太宰はAの手を引いて、森の後を付いて行く。

Aにとって久しぶりに出た外は、未だ夕刻であった。
建物の外には、黒塗りの高級車が停められていた。

「森医師、其方の子供は?」

車の側に立っていた運転手が、目を鋭くさせて、太宰とAを見る。

「助手ですよ」

森は其れだけ答えると、開かれた扉に、先に二人を乗せた。
そして、其れから自分も乗り込む。

後部座席は、向かい合わせの椅子だ。
三人乗り込んでも、まだ一つの椅子が余っていた。
森は其処に、医療用具を置いた。

扉が静かに閉じられる。
そして、運転手も乗り込むと、車は何処かに向けて発進した。

車内は、暫く無言が続いていた。
其の沈黙を破ったのは、Aだった。

「……ポートマフィア本部、で合ってる?」

此れから向かう先を訊ねたのだろう。
其の質問に、森と太宰は首肯いた。

Aは「有り難う」と呟いて、静かに目を伏せる。
そして次に目を開いた時は、其の瞳には影が射し、仄かに潤んでいたのだった。

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作者名:日之静海 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月13日 21時

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