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「A！ヘイ！！」
「オーケー、行くぞボクトォ！」
体育館の照明に反射されながら、空のボトルが宙を舞う。
ＧＷを控え、学校中が浮き足立っている五月。バレー部には、木兎さん並みに騒がしい仲間が、一人増えていた。うるさい同士、木兎さんとAは気が合うようで、いつも何かを起こしては、皆に笑われ、怒られている。
ただ、彼女が前よりずっと、楽しそうになったのはいいこと＿＿
「アッ」
「赤葦あぶなーい！」
ボコッ
だけとは、限らない。
Aが増えてから、木兎さんの暴走が増えた。そしてAは暴走を煽るな。大体暴走した二人を止めるのは俺で、止めても結局すぐに暴走する。駄目だ、もう暴走しか言えなくなってきた。
「ご、ごめん京治ﾝﾇｧ」
「ボトルは投げるなって言ったよな。」
跳んできたボトルで頭を押すと、奇声を上げてAが顔をしかめた。ぐりぐりとボトルを回してやると、「ぬぉおぅ」と、某携帯獣のような鳴き声を上げた。吹き出しそうになったが、ここは我慢だ。
「中身漏れてたら、拭くのはAなんだよ。」
「すみませﾝﾇｫｳ」
「ッんぐ」
「お、赤葦が笑った〜」
「今日はAちゃんの勝ちだね。」
「白福さんも雀田さんも止めてくださいよ。」
つい笑ってしまうと、白福さんや雀田さんが、からかってきた。勘弁してほしい。・・・さて、こんな彼女だが、仕事は結構できた。力仕事はできない、というかやらせられないが、一つ一つの作業が丁寧で早いので、マネージャーとしては素晴らしい器量を持っていたのだった。
後は木兎さんに悪ノリしなければいいだけなのに。
「全く…。木兎さんも、あまり暴走しないでください。」
「スマーン！」
「Aも、あんまり悪ノリしな＿＿」
「おめーら、まぁたやってんのか。」
俺の言葉を遮るように、闇路監督が入ってきた。すぐに「集合」と木兎さんの声が響き、全員がボトルやタオルを置いて、監督の前に集まった。
「えー、今年もＧＷ合宿の季節になった。」
「合宿！」
「おうA、テンション高ぇな。」
合宿という言葉に興奮し、俺の横でAが跳ねる。……俺たちは何度も繰り返してきたけど、Aは初めてだった。合宿の詳細が配られ、それぞれが読み始めて静かになる。
「なぁ京治、」
くい、とAにＴシャツの裾を引っ張られた。
「何？」
「楽しみだな、合宿！」
開かれた扉の先で、青々とした葉が、風に揺れて音を立てた。
「……そうだね。」
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朝町さなぎ(プロフ) - アルさん» ありがとうございます！初めてですが頑張ります…！ (2019年8月9日 23時) (
レス) id: 943be826ce (このIDを非表示/違反報告)
アル - 続き気になる！更新頑張ってください！ (2019年8月9日 23時) (レス) id: 490ab1aedc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朝町さなぎ | 作成日時：2019年8月9日 22時
