どうしようもない女【アバンティーズ】 (ページ11)

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きまずいページ11

オレ達、全然似ていないんだね。
そう気づいたとき悲しくて仕方がなかった。オレの持ってない闇を抱えているAが憎くて、ずっと一緒だと思っていたAが勝手にいなくなってしまったのが、憎くて。

どんな顔をしていたんだろうか。Aはオレの顔を見て情け無く眉を寄せた。気が付いたらオレはAに抱きしめられていた。

「Aの事なんてもう嫌い？」

とか細いが確かな悲鳴が耳元で響いて、申し訳無さと情けなさで目に涙が浮かぶ。ふるふると首を振りながら何を言おうかとばかりを考えていた。オレの事なんてどうでもいいんだろう。親友だと思っていたのはオレだけなんだろう。なんで黙ってどっかいっちゃったんだよ。オレ、こんなに寂しかったのに。言いたい事はたくさんあったが口に出しては傷つけてしまう気がして言え無くて、また黙りこくってしまう。Aはオレから離れると、オレの顔をじっと見て照れ臭そうに笑った。

「ふふ、なんか、みっくんが金髪だと、誰だか解ん無くてさ、久々なのもあって全然普段通り話せない」

その台詞はオレの内心をそのまま口に出したかのようであった。あまりにも変わりすぎた親友にどう接するべきか解らなかったのは、オレだけじゃなかったみたいだ。
数年ぶりにまともに顔を合わせて、気不味くて逃げ出したいのも、オレだけではなかったのだ。あからさまに避けられていたAが、気不味くないはずがない。なのに、共に暮らす事になったからとはいえ、こんなにも自ら、歩み寄ってくれている。
そして、やっと気が付いたのだった。勝手に離れていったのは、勝手に変わってしまったのは、他でもない、オレだったという事に。刹那、憎しみも悲しみもすべてが虚しさに還り、そして消えた。本当に数年ぶりにしっかりと目を合わせると、Aは少しだけ涙ぐんでいた。Aの瞳に映る小さな自分も、全く同じ表情をしているように見えた。

「久しぶり……会いたかった。」
「うん、久しぶり」
「随分変わったね」
「みっくんこそ」

Aの金髪を抱えるように抱きしめるとオレの髪が視界に入った。その色はAの髪と全く同じぱさ付いた金色だった。変わったなんて言ったけれど、やっぱり同じじゃないか。
Aはオレの髪と自らの髪を少しだけ摘んで、それを見ていた。オレ達やっぱり似ているから、お互い、今、同じ事を考えている、と、なんとなく解って、全く同じタイミングで、笑い声をあげてしまった。