鵺は今宵も哀しく鳴く２

八十七 ページ46

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洗面所
『え、せっかく化粧落としたのにまたなんか塗りたくるの！？』



「ナチュラルメイクくらいさせてよ。あんたみたいなもはや異次元の域に達している顔面偏差値ならともかく、急にすっぴんは大分ハードルが高いわ」









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廊下
『あ！溝口コーチ！丁度良いところに』



「おー、鵺鳥。西条の件は大丈夫だったか・・・って西条！？」



『なんか化粧って他人になれるんだなって思いますよね』



「それすっごく失礼」









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水道
『いた！おーい、しのぶさーん』



「あら、やっと来ましたね」



「え、マネージャー皆いる・・・これなによ」



『取り敢えず、この合宿中に他のマネさんにも手伝ってもらって基礎をびっちり叩き込もうと思ってね。話聞いているかぎりでは家事は出来るっぽいから、すぐに出来るようになるよ！』



「迷惑かけられた分、これから目一杯働いてもらうから。覚悟しといてね〜」



「ヒエェ・・・雪福さんの圧怖っ！俺に向けられてる訳じゃないけど！」









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体育館前
「鵺鳥さん」



『ん？どうした？』



「・・・ありがと。それだけ」



『・・・うん！どういたしまして』



「一人でも私を認めなかったら、私はバレー部を辞める」



『大丈夫。今のあなたなら、本気でバレー部を愛せるだろうし、一度きりの過ちをやるせないほど心の狭い人たちじゃないと思うよ』



「それは、知ってる」



じゃあ、いくか



そうね



中からかけ声が聞こえてくる。



改めて思うと、私はちゃんと青城のバレーを見れていない。



それは西条さんも同じで、私達は、これから本気でバレーを愛する事が出来るだろうか。



今、やっと、青葉城西マネージャーとして、私達の青春が始まる。

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