鵺は今宵も哀しく鳴く２

八十五 ページ44

西条side



私は、母の顔を知らない。



幼い頃に、病気で死んじゃってるから。



父には、愛情なんて一欠片も貰ったことが無くて、ただただ義務の様に育てられた。



誉められもしなければ、怒られもしない。



鍵っ子は当たり前で、夜遅くまで家に帰らない父が置いていったお金で、朝御飯と夜ご飯を買っていた。



そのうち自炊を覚えて、他の子より早めに与えられたスマホも駆使して何とか一人で生活するだけのスキルは身に付けた。



そして、確か、中学に上がるってなった頃に、父が再婚したの。



その女の人は、私の二つ下の女の子を連れてきた。



その子は、まだ小学生なのに化粧が凄くて、話し方とか仕草とか、全部今の私みたいだった。



そのお陰で、私には見向きもしなかった父にも愛されていたわ。



それが羨ましくて、いつもあの子に憧れていた。



当時、私は学校でもいじめられていて、どこにも居場所が無かったから特にね。



学校にも家にも居場所が無い。そんな状況の中、二年が過ぎた頃



同中に来た妹に、冤罪を着せられた。



最初は家の中で私にいじめられているって、他の人の同情を誘うだけだったけど、どんどんエスカレートしていって、



ある日、私にお金を盗まれているって言いふらしたの。



その噂は瞬く間にひろまって、警察が介入する位の大事になった。



勿論、証拠なんて無いから私は無罪になったのだけれど、学校内でのいじめも、家庭内での風当たりも、どんどん厳しくなった。



んで、高校になって逃げるように、元々住んでいた東京ではなく、宮城(ここ)の高校にしたって訳。



そっからはあなたもご存知の通り、私は妹の真似をして、あなたを追い詰めた。私がやられたようにね。



妹の様に、皆に愛されたかったから

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