逃げの一択作戦 ページ36
「ふむ！以前とは違い、出し惜しみはなしか！」
「ええ…当然です！」
両手を重ねて目の前で翳し、防壁を発生させる。決して気を抜かない。じゃないと潰される…！
オールマイトに意識を向けつつ、その周囲にも網の目のようにそれを張り巡らせる。
敵はオールマイトだけじゃない。消太さんがどこから出てくるかわからない。頭の中に常にマップを広げて、周りにも注意を配る。
ーー来た！上空、看板を飛び移ってこっちに移動中！
「やぁあああっ！」
「「！」」
視界に入った時点で、『
だから、ここは『
消太さんが、“個性”でボクを見る寸前。後ろの方、腕を振って掌に握った種を斜め上に投げる。
一気に萌芽した種から、枝がぞくぞく伸びた。
ブワッ！
「ムム！？」
「テングシデか。まぁ、これは想定内…」
消太さんの目が光り、テングシデちゃんの“個性”が消される。ボクが見られるより前に、テングシデちゃんを見た。
今のうちに！
「ビィちゃん！」
ブゥンッ。
視界の先が切り替わって、ビル街の大通りに出た。手をついた所にビィちゃんが駆け寄ってきて、前足でボクの手を踏む。
消太さんの“個性”は、視認しないと発動しない。
囮はテングシデちゃんだけじゃなく、ボク自身。ビィちゃんを大通りの端に配置して、掛かったらジャンプする！
「大丈夫…行こう！」
あの二人相手に、まともに戦って勝てるはずがない。
だから、逃げの一択！とにかく逃げて逃げて逃げまくって、ゴールする！
荒い息を飲み込んで、コンクリートの地面を蹴り走り出す。
遠い。ゴールがまだまだ遠い。全然見えないよ！遠いから？それともボクが鈍いから？やだ！考えただけで泣きそうになってきたよ！
「！」
嘘でしょ…マップの中に、もう二人が入ってきた。
ボクのマップは、ボクを中心に半径100m以内。そこにもう入ってきてる…つまり、向こうにはおそらく、ボクの姿が見えてるはず。
ひぃいいい！ヤバい！
「テングシデを目くらましにして脱出したか。いい手ではあるが移動距離が短いな」
「うぎゃああああああ！？」
もう追いついてたー！？既にヤバかった！手遅れだった！
咄嗟に『
「ぎゃっ！？」
グン、と体が引っ張られる。気付いた時には、消太さんの捕縛布で縛られていた。
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作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
