使命 ページ24
グッと拳を握り、緑谷くんと頷き合う。
大丈夫。ボクが必ず、緑谷くんを支える。共に巨悪に立ち向かう仲間として、一人の大切な友人として。
だけど、オールマイトは…何故だか、苦い表情をした。とても苦しそうに…
「…………………ありがとう」
絞り出されたのは、感謝の言葉だった。
＊＊＊＊＊＊＊＊
そして時間は過ぎ、帰りのSHR。この季節になると、太陽が沈むのも遅くなってきた。そろそろ暑くなってきそうだ。
「えー…そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが30日間一ヶ月休める道理はない」
「まさか…」
「夏休み林間合宿やるぞ」
「「「知ってたよーーやったーー！！！」」」
「肝試そーーー！！」
「風呂！！」
「花火」
「風呂！！」
「カレーだな…！」
「行水！！」
「自然環境ですとまた活動条件が変わってきますわね」
「いかなる環境でも正しい選択を…か。おもしろい」
「湯浴み！」
「寝食みんなと！！ワクワクしてきたぁあ！！」
「ただし」
一気にワッと盛り上がって、説明の続くところは静かになる。メリハリがしっかりついた教室になったね。
「その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は…学校で補習地獄だ」
「ヒェッ」
「みんな頑張ろーぜ！！」
「おー！！」
補習地獄とか…考えただけでも背筋が凍る！
消太さんが勉強みるのかな…だとしたら怖い！徹底的にかつ合理的な手法で叩き込んでくるから余計怖い！！
よし…よし！頑張ろう！
＊＊＊＊＊＊＊＊
【Noside】
ーーここがどこかはわからない。だが日本に確実にあるどこかの、とある部屋。
ブルーライトが光る画面の前、深く椅子に座った男は、そこに映し出される少女を眺めていた。
「A…まさか弔から逃げ出すとはね。だが、いい兆候だ」
神代神社の宮司、於野A。世代を超え一つの“個性”を受け継ぎ続け、守り抜いてきた一族の末裔。
だが彼女はかつて、そのさだめから逃げ出した。生まれた時から背負わされた使命。ヒーロー社会からの悪意なき期待。多大なプレッシャーに、彼女は耐えきれなくなったのだ。
「彼女は忘れている。誰が自分を苦しめているのか。それをもう一度思い知るといい。
…君はかつて、僕を散々苦しめてくれた。なら、次は君が苦しむ番だ。
ーーそうだろう？
嗜虐の眼差しを少女に向けつつ、男は愉しそうに笑った。
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作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
