ワン・フォー・オールの誕生 ページ23
『聖女』はオール・フォー・ワンを『悪魔』と呼び、二人が分かち合う事は、彼女が死ぬまで決して無かった。二人は何度も対立し、己の信念の丈をぶつけ合った。
そんなオール・フォー・ワンには、“無個性”の弟がいた。
体も小さくひ弱だったが、正義感の強い男だった。弟は兄の許されざる所業に心を痛め、抗い続けていた。
「そんな弟に彼は、“力をストックする”という個性を無理矢理与えた。それが優しさゆえか、はたまた屈服させるためかは今となってはわからない」
「まさか…」
「うん…無個性だと思われていた彼にも、一応は宿っていたのさ。自身も周りも気付きようのない、“個性”を『与える』だけという、意味のない“個性”が！！
ーー力をストックする“個性”と、与える“個性”が混ざり合った！これがワン・フォー・オールのオリジンさ」
「……！！」
「！……」
ワン・フォー・オールの、オリジン…そんな事があったなんて、知りもしなかった…
だけど、どうして今、そんな話を…
「“個性”を奪える人間だぜ？何でもアリさ。成長を止める“個性”…そういう類を奪い取ったんだろう。半永久的に生き続けるであろう悪の象徴…覆しようのない戦力差と当時の社会情勢…『聖女』の力を借りても、状況は変わることなく、やがて彼女はオール・フォー・ワンに殺された…」
「！」
「敗北を喫した弟と残された『聖女』の一族は、ワン・フォー・オールと
そして私の代でついに奴を討ち取った！！ハズだったのだが…奴は生き延び、“
「ワン・フォー・オールと
あの人と…先生と…
ごくり、と生唾を飲み込む。
…わかってる。たとえ昔お世話になった人だとしても、それはそれ。
今のボクは、神代神社の宮司で、ヒーローのたまご。もう、かつての何も知らないお人形じゃない。
「酷な話になるが…」
「オールマイト、ボク達…頑張ります！」
「オールマイトの頼み…何が何でも応えます！あなたがいてくれれば、僕は何でもできる…できそうな感じですから！」
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作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
