感染【Noside】 ページ16
保須事件から二日後。グラントリノの懸念は予想通りとなっていた。
ヒーロー殺しの素性は警察とメディアによって、あらゆる角度から暴かれ始めていったのだ。
ヒーロー殺しステイン、本名・赤黒血染。オールマイトのデビューに感銘を受け、ヒーローを志す。
私立のヒーロー科高校に進学するも、「教育体制から見えるヒーロー観の根本的腐敗」に失望。1年の夏に中退。直前に夥しい数の神代神社に関する歴史書などの閲覧が確認されている。
10代終盤まで「英雄回帰」を訴え、街頭演説を行うも「言葉に力はない」と諦念。以降の10年間は「義務達成」のため独学で殺人術を研究、鍛錬。この間に両親は他界。(事件性は無しとされている)
氏の主張「英雄回帰」。ヒーローとは見返りを求めてはならない、自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない。現代のヒーローは英雄を騙るニセモノであり、真にヒーローと呼べるのはオールマイトと神代神社の『聖女』のみ。粛清を繰り返すことで世間にその事を気付かせる。
報道後、その映像は動画投稿サイトを中心にインターネットを通じて世界中に流された。
まるで、何かに“感染”していくように。
彼の思想に感化され、抑圧された者達が、続々と動き出してきた。
その流れを同時に察知したのか、動画はアップと削除を繰り返している。
だが、一度落とされた水滴は、張力を保っていた水面に、否が応でも波紋を作る。
そしてそれが続いて一つ二つと落とされれば…もう誰も止められない。
バラバラだった“悪意”が今、
悪意の種は確実に芽吹き始めている。
そしてそれに水を注ぐのは、あてられた人間達だ。
ただ力のままに暴れたい者。ステインの思想に共感した者。様々な人間が、その衝動を解放する場所として、
その力の中心となっていくのは、死柄木弔。
悪意の種そのものと成り得る可能性を秘めた男。いずれその花を咲かせ、強大な悪となる男。
更に彼の背後に控える巨悪、オール・フォー・ワン。死柄木のバックについた彼を、グラントリノ、オールマイトは知っていた。
この先の戦いを勝ち抜くために。オールマイトは力を託した少年に、真実を打ち明ける決意をする。
オールマイトとオール・フォー・ワン。彼らが再び相見えるのは、意外と遠くない未来のお話。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
