グラントリノの感じたもの【Noside】 ページ15
その手を黙って見ていた轟が、ふと口を開く。
「なんか…わりィ…」
「何が……」
「俺が関わると…手がダメになるみてぇな…感じに…なってる……」
呪いか？と深刻な様子の表情で、自らの手を見つめ呟いた。
それに緑谷と飯田、Aが思わず吹き出す。
「あっはははは、何を言っているんだ！」
「轟くんも冗談言ったりするんだね」
「いや、冗談じゃねえ。ハンドクラッシャー的存在に…ハッ、まさか於野まで…！」
「あ、ボ、ボクは大丈夫、だから…ププッ」
「ハンドクラッシャーーーーー！！」
あはははは、と日差しの差す病室に、笑い声が響き渡った。
＊＊＊＊＊＊＊＊
その頃、病院の公衆電話コーナー。グラントリノが、ある人物に電話をかけていた。
相手はNo. 1ヒーロー・オールマイト。電話越しに聞こえてくる声は、相変わらずビクビクしたものだった。
昔と変わらない弟子に溜息を吐きながらも、本題へと入る。
「今回電話したのは他でもない、ヒーロー殺しの件だ。実際に相見えた時間は数分もないが、それでも戦慄させられた」
『グラントリノともあろう者を戦慄させるとは…しかしもうお縄になったのに何が…』
『俺が気圧されたのは恐らく、強い思想…或いは強迫観念から来る威圧感だ。誉めそやす訳じゃねぇが、俊典お前が持つ“平和の象徴観念”と同質のソレだよ」
ステインは
そして、今後警察による取調べが進めば、彼の思想や主張があらゆるメディアで報道され、それに感化される人間が多くなっていく。それも、ヒーローに敵意を向けるような人間が。
『個々で現れたところで、今回のようにヒーローが…』
「そこで“
この流れに、グラントリノは危機感を覚えた。だからこそ、彼に伝えた。
「俺の盟友でありお前の師…“先代ワン・フォー・オール所有者志村”を殺し、お前の腹に穴を開けた男…“オール・フォー・ワン”が再び動き始めたとみていい」
感染【Noside】→←ヒーロー殺しステイン逮捕、その後【Noside】
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作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
