【ヒロアカ】にちりんのひめ (ページ13)

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これにて本当に終結……か？ページ13

そりゃあ、轟くんの言い分もわかる。あの時、ボクらが動いたことで、結果命を救われた人だっている。
だけど、それはあまりにも危険な賭けで…まだまだ卵のボク達は、本当に「運が良かった」としか言いようがなかった。

でも、だとしても。

「ーー…人をっ…救(たす)けるのがヒーローの仕事だろ」
「だから…君は“卵”だ、まったく…良い教育をしてるワンね、雄英も…エンデヴァーも…」

げっ！！面構署長、それ、地雷っ…！
案の定怒った轟くんが、更に詰め寄る。

「この犬ーー…」
「轟くん、ストップ！ダメだよ！」
「やめたまえ、尤もな話だ！！」

轟くんの腰に抱きついて引き止めてると、グラントリノさんも制止に加わった。

「まァ…話は最後まで聞け」
「以上がーー…警察としての意見。で、処分云々はあくまで公表すれば(・・・・・)の話だワン」

公表すれば…？それってつまり…

「公表すれば、世論は君らを誉め称えるだろうが、処罰は免れない。一方で汚い話、公表しない場合、ヒーロー殺しの火傷痕から、エンデヴァーを功労者として擁立してしまえるワン。幸い目撃者は極めて限られている。この違反はここで握り潰せるんだワン。

だが君達の英断(・・)と功績(・・)も、誰にも知られることはない」

そんな…そんなの…
ボクらは…少なくともボクはただ…

「どっちがいい！？一人の人間としては…前途ある若者の“偉大なる過ち”に、ケチ(・・)をつけさせたくないんだワン！？」

ボクは…ただ、本当にただ、飯田くん(ともだち)を救いたかっただけなんだ。
名誉も功績もどうだっていい。ただ、彼を救いたかった。本当に、ただそれだけの気持ちで動いてた。

…これが、ボクらの“理想”と“現実”との違い、か。
いくら理想で動いてたって、この世界には社会がある。規則がある。人が人であるために、より人らしくあるために。それを理想で何度でも踏み越えてちゃ…この世界は崩壊するもんね。

ボクらの答えは、一つだった。

「……よろしく…お願いします」

揃って、こうべを垂れる。

「大人のズル(・・)で君達が受けていたであろう称賛の声は無くなってしまうが…せめて、共に平和を守る人間として…ありがとう！」

面構署長が、深く頭を下げた。

ーーこうして、路地裏での戦いはゆっくりと幕を閉じた。

だけど…その影響がじわじわと、後にボクらを蝕むことになるなんて、この時は誰も予想しなかった。