処分について ページ12
マニュアルさんに連れて来られたのは、緑谷くん達の病室。その道中でグラントリノさんと保須警察署署長の面構犬嗣さんと合流した。
面構署長は犬の頭をした人だ。超常社会じゃそういう人もいるよね、で済ませられるようなタイプの。
………………にしても…可愛いな。
ちなみにここまでの道で、ボクは一切歩いてない。何故かというと。
「於野さん！？くっ、車椅子！」
「あ、大丈夫だよ。怪我とかしてるわけじゃないから」
“個性”使用の反動で未だ平衡感覚が上手く掴めていないボクのため、マニュアルさんが気を遣って車椅子を借りてくれたの。
そう説明すると、緑谷くん達も安堵の表情を見せる。
面構署長の紹介も済み、早速本題へと入る。
「ヒーロー殺しだが…火傷に骨折と、なかなかの重傷で現在治療中だワン」
その言葉に、思わず黙り込む。
「超常黎明期…警察は統率と規格を重要視し、“個性”を“武”に用いない事とした。そしてヒーローはその“穴”を埋める形で台頭してきた職だワン。個人の武力行使…容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されて然るべきこれらが公に認められているのは、先人達がモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン」
脳裏に、13号先生の話が過ぎる。
“個性”は、使い方次第で人をも殺めてしまえる。たとえ本人にその意思がなくても、加減を間違えれば、もしくは咄嗟の判断でも、簡単に殺人者になれてしまう。
…公的に認められた暴力、か。
弔さんの言ってた事も…同じなのかな。
「資格未取得者が、保護管理者の指示なく“個性”で危害を加えたこと、たとえ相手がヒーロー殺しであろうとも、これは立派な規則違反だワン。君達四名及びプロヒーロー、エンデヴァー、マニュアル、グラントリノ、この三名には厳正な処分が下されなければならない」
「……！！」
「待って下さいよ」
え…轟くん？
「飯田が動いてなきゃ“ネイティヴ”さんが殺されてた。緑谷が来なけりゃ二人は殺されてた。誰もヒーロー殺しの出現に気付いてなかったんですよ。
規則守って見殺しにするべきだったって！？」
「ちょちょちょ」
「結果オーライであれば規則などウヤムヤで良いと？」
えっ、あれっ…何でいきなりこんな雰囲気に？
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作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
