大事な事を忘れているか？ ページ11
改めて、ふと思う。
ボクは、『
この“個性”が、先祖から受け継がれているもので、これで神代神楽を舞うんだって事しか知らない。
じゃあ、それ以上の事は？自分の“個性”なのに、何も出てこない。ウチに納められてる資料とか探してみたことはあったけど、一度燃えてるせいか見つからなかった。
せめて知ってる人が居てくれれば、何かわかったかもしれないのに…
「お前の“個性”に関して、誰か何か知っている宛はないのか？例えば親とかは？」
「親…？消太さんは、何も…」
「違うそうじゃない。お前の本当の両親だ。お前にもいるだろう」
「本当の…両親…？」
どういう事だろう。ボクの両親とやらなら、『
だけど、そんなものボクには居ない。
「両親、なんて…ボクには居ませんよ？」
「…ああ、確か先代はお前が
え？そうなの？ボクの両親って、本当に居たの？ヒーロー公安委員会の人達も、そんな話をしてたような気がするけど…その時の話、完全に忘れちゃってたんだな。
攫われた時、って…ボクが「先生」に引き取られた時の事だよね？その直後に、ボクは弔さんと出会った。
それははっきりと思い出せるんだけど…その前が、全く思い出せない。
「先生」に抱えられる前、ボクはずーっと泣いていた。どうして泣いていたのか、理由はわからない。
ヒリヒリと肌を刺激する熱、覚束ない足。揺らめく炎の中で、ボクはどうして彷徨っていたのか。何も思い出せないのだ。
どうして？何で？
何でボクは、ボクを生んだ人達を思い出せない？
「……あれ…？」
もしかしなくても…ボク、重大な何かを忘れてるんじゃないか？
何故、ボクは「先生」に保護されたのか。何故ボクの両親は、死んだのか。
ああ…どうしてこんな大事な事も思い出そうとしないで、何をのほほんと生きていたのだろうか。
「どうした？」
「！あ、いえ、何でもありません…」
エンデヴァーに顔を覗き込まれて、ハッと身を退く。
…少し、調べてみよう。これはボクの問題だ。きっと、ボクが目を逸らしてはいけないものだ。なんだか…そんな気がする。
コンコン、とまた扉を叩く音がした。続いて扉が開き、マニュアルさんが顔を覗かせる。
「やぁ。すまないがAちゃん、ちょっといいかい？」
「えっ？」
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作者名：ミサ | 作成日時：2019年8月29日 3時
