『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:10

129-2 新手ワクワク ページ34

しかし次の瞬間、シスはパッと顔を輝かせ、私達に迫ってきた。


「ならこの機会に【死神教】に入信しませんか！？あなた様が入っていただければきっと死神様もお喜びになられます。是非入るべきです！あなたの人生を変えるチャンスですよ」
「えっ…」


ああー、なるほど。こーいうパターンの奴かー…。コイツ自分の好きなものを布教するタイプの奴だ。同担大丈夫なタイプだ。

ていうか手に持ってる『あなたは死神を信じますか？』ってチラシやめろよ。あからさまに怪しい勧誘だと思われるぞ。いや普通に怪しい勧誘なんだろうけど(失礼)。あとものすごく純粋な眼差しでこっち見んな。


「死神様を信じ讃えればきっとあなたに救いが訪れます。ご一緒に死神様への祈りを捧げましょう！さぁ！さぁ！さぁ！」
「…………志乃」
「だから私に助けを求めんじゃねぇ」


お前は私を盾にする癖を改めろ。ついでに死神様にでも救ってもらえ。私は知らん。


「そこのおじさまも【死神教】にご興味がおありですか！？」
「い、いや…俺はその…間に合ってます」
「チッ。死神様の偉大さがわからない愚者が。消えろ」
「温度差！！」


変わり身早すぎるよこの人…。ヤダー怖いよー。できれば今すぐにでも関わりたくないよー。でもジューゴが私に隠れてシスから逃げようとしてるから無理なんだよー。


「お嬢さんもいかがですか？【死神教】に入れば人生が変わりますよ」
「あー…えーと、その…」
「よければお二人で是非！看守であろうと囚人であろうと、共に死神様を崇拝する身であれば、我々の間に境はありません！」
「…はは」


セットで勧誘されてるよ。もうやだ。帰りたい。シンプルに帰りたい。

できれば九舎の人と関わりたくなかったんだよ。少しでも九尾主任(あのひと)との接点を少なくしておきたい。あの所構わず会うなりプロポーズしてくる馬鹿の頭をバットで殴りたいと何度思ったことか。いっそのこと神様にでも奴の不幸を願いたいわ。

…ん？神様は神様でも死神様なら、間違いなく奴を不幸のドン底に叩き落とせるのでは…？


「ねぇシス、私ちょっと興味あるかも」
「えっ！？」
「本当ですかお嬢さん！？」


うふふ。嫌いな奴を呪える可能性が少しでもあるなら喜んで信じさせてもらうよ。私は相手を不幸にするために全力を注いでるし、そのために生きてるようなもんだからね。嫌がらせ万歳！呪い万歳！

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