『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:10

129-1 新手ワクワク ページ33

このように、目の前の宇宙人を躱そうと生贄(はなしあいて)選びに3ターンくらい費やした。
責任の押し付け合いのローテーションに嫌気がさすことはない。だって絶対に嫌だもんこんな奴の相手。

いくら囚人とはいえ、私が相手できるのはあくまで人間だけだ。たとえ人の話を聞かない奴だろうと怪力だろうとイケメンだろうと、人間相手なら何とかなる部分もある。
でも地球外生命体は無理だってマジで！もうやだ帰りたい！訓練はしたいけど！！


「お前達、さっきからうるさいぞ。もう少し静かにできないのか」


わちゃわちゃと騒いでいた私達に、一人の男が声をかけた。
あ、アイツここに来てずっと本読んでた奴じゃん。顔色悪いな〜、いかにも不健康そう。


「お前達のような愚か者共には、死神様からの罰が下るだろう」


…は？死神？しかも様って…もしかしてコイツ…。


「おいおい宇宙人の次は死神とか言ってるぞ」
「こんなに濃いと胃もたれしちゃうって」
「おいユピテル、そいつら誰だ」
「彼らは今日初めて来た囚人で、プレートにはナンバー『15』と『71』と書いてありました。こちらの女性はプレートがないのでおそらく看守かと」


宇宙人の奴ユピテルって呼ばれてんの？星の名前でいいんだ？
ユピテルが新手の囚人の隣に立って、彼を指さす。


「ご紹介しますね、彼は九舎からお越しのナンバー『44』です。他の囚人からは『シス』って呼ばれています。【死神教】という地球でいう宗教の信者さんだそうです」


あー、なるほどね。やっぱりそうか。

つーか九舎の囚人かー…。てことは九尾主任のとこの…。新たに妙な奴と知り合っちゃったな…。


「なぁ志乃、【死神教】って何だ？」
「死神を崇拝している宗教のことだよ。死神とされる存在全てを讃えてるから、世界中に信者のいる有名な宗教団体さ」
「へぇ〜、そんなのあるんだな。初めて知った」


ポツリと放ったジューゴの一言に、シスが過剰に反応した。
あれ、これもしかして死神教を知らないことでキレられるパターンのやつ？

おいジューゴお前、私の陰に隠れるな。都合悪くなると私を盾にするのやめろっつってんだろ。


「君、【死神教】を知らないのか」
「え…あ、俺外の話あんまり知らねぇからさ」


ギン！とさらにシスが眼光が鋭くなる。
あーコイツ完全に私を肉壁にしてる！犠牲にしようとしてる！お前マジで殴るぞ！

129-2 新手ワクワク→←128-4 訓練するか？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す