『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:10

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「でもこれでようやくこのおっかねぇ舎とおさらばできるぜ。夜ぶっ通しだったし、帰ったら俺ら寝てもいいよな？」
「は？通常通りだが？」
「「鬼か！！」」


主任の告げた残酷なお知らせに、私とウノは異口同音で叫んだ。
ふざけんなよ！こっちは慣れない徹夜で疲れてんだよ！倒れる寸前！死にかけ！二徹三徹余裕のアンタと一緒にすんじゃねぇよバーーーカ！！


「そう言わずに休ませてあげたらいいんじゃないかな？彼らは今回とても頑張ってたし…」
「「ダミさぁん…」」
「いや、よそはよそうちはうちなんで」
「「てめぇえええええ！！」」


ここまでウノと意見が完全一致してくると普通に気持ち悪くなるな。でも今は言わない。そんな事より鬼畜なウチの主任に怒りをぶつけることが優先。
そんな気持ちを込めて主任を睨むと、溜息が返ってきた。この野郎、溜息吐きてえのはこっちだ。


「大体お前は今日の会議に同席するよう、看守長代理(アイツ)から命令されてんだろうが。仕事すっぽかして寝るつもりか？」
「………あっ」
「忘れてんじゃねぇよバカ娘」
「だってあの権力濫用ナルシスト看守長代理の言う事なんか基本聞き流してますもん」
「お前ホント嫌いな奴に対して容赦ねぇな」


そりゃそうでしょうとも。だって一度嫌いになった人を好きになるなんてなかなか難しいよ？好感度マイナスからプラスに変えるのって意外と至難の業よ？
少女漫画じゃないんだから、「嫌いだったあいつがいつの間にか好きに！？」とかマジありえない。虫唾が走る。

でも仕事ならしょうがない。ていうか主任会議に私が出席していいの？重要事項を話すんじゃないの？本当に私いて大丈夫？？

まぁいいや。そんな事は置いといて、だよ。今回私達ここの護送車で来たよね。帰りも送ってくれるの？


「今回だけよ」


カツン、とピンヒールが地面を叩く音が響く。

……ハッ！！この声は！

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